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税理士事務所・会計事務所の現状や売却の流れ・相場を解説

税理士事務所・会計事務所の現状や売却の流れ・相場を解説

更新日:

健康上の理由などから、経営する税理士事務所・会計事務所を売却し、従業員の雇用を売却先に委ねたいと考えている税理士の方は、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、税理士事務所・会計事務所を取り巻く環境や売却の流れ、売却相場について解説します。

税理士事務所・会計事務所の現状

報酬の減少や後継者問題など、税理士事務所・会計事務所を取り巻く現状はシビアです。まずは税理士事務所・会計事務所の現状について詳しく見てみましょう。

税理士事務所・会計事務所の8割以上は個人経営

総務省と経済産業省が5年ごとに実施している「平成28年 経済センサス‐活動調査」によると、平成28年における全国の税理士事務所・会計事務所の数は2万6,773か所となっています。このうち、個人経営の事業所は88.7%、税理士法人など個人経営以外の形態をとっている事業所は11.3%となっており、税理士事務所・会計事務所の多くが小規模の個人事務所であることがわかります。

小規模の個人事務所の割合が圧倒的に多い税理士事務所・会計事務所ですが、個人と税理士法人などで売上高を比較すると個人52.3%、個人以外47.7%となっており、ほぼ互角です。これは、税理士法人などが事業規模の大きい顧問先を相手にしていることが背景にあると考えられます。

さらに、現在はクラウド会計ソフトの普及により、中小企業や個人事業主は税理士を頼らなくても基本的な税務・会計処理業務を行えるようになっています。このため、小規模税理士事務所・会計事務所が顧問先から得られる報酬は、以前よりも減少しています。

税理士の5割以上は60代以上、若手合格者は減少

 

また、日本のあらゆる産業において、少子高齢化による後継者不足が大きな問題になっていますが、税理士事務所・会計事務所においても例外ではありません。日本税理士会連合会が平成26年に実施した実態調査によると、税理士の年齢層ごとの割合は以下のようになっており、60代以上が53.8%を占めています。

20代

0.6%(187人)

30代

10.3%(3,358人)

40代

17.1%(5,599人)

50代

17.8%(5,817人)

60代

30.1%(9,868人)

70代

13.3%(4,343人)

80代

10.4%(3,421人)

60代以上の税理士が経営する税理士事務所・会計事務所では、事務所を引き継いでくれる若い税理士を確保することが課題となりますが、若手税理士が減少しているため、採用は簡単ではありません。

 

 

25歳以下

26~30歳

31~35歳

36~40歳

41歳以上

平成27年度

59人

146人

172人

199人

259人[011]

平成28年度

53人

123人

151人

150人

279人[012]

平成29年度

58人

124人

163人

173人

277人[013]

平成30年度

51人

99人

133人

142人

247人[014]

令和元年度

63人

112人

158人

148人

268人[015]

令和2年度

43人

96人

126人

136人

247人[016]

令和3年度

41人

74人

98人

116人

256人[017]

表は過去7回の税理士試験における5科目到達者の数を年齢層別に示したものです。5科目合格の到達までに時間がかかる事情はあるものの、26~30歳・31~35歳・36~40歳の層で、合格者が大きく減少しています。

大手税理士法人に比べ、給与や待遇面でハンデがある個人経営の事務所などは、この層の採用が難しくなっています。さらに、新型コロナ禍の影響で、廃業に追い込まれる中小企業も増え、一部の大手税理士法人を除いて多数の税理士事務所・会計事務所を取り巻く環境は一層厳しいものになっていると考えられます。

税理士事務所・会計事務所の売却のメリットとデメリット

個人経営の税理士事務所・会計事務所では、生き残りをかけて事務所を税理士法人などに売却するケースがあります。

では、事務所を売却するメリットとデメリットについて見てみましょう。

税理士事務所・会計事務所の売却のメリット

・売り手のメリット

事務所を売却する側にとっては、後継者問題を解決し、 です。高齢の税理士一人と数人の税理士補助がいる個人経営事務所の場合、税理士が亡くなると業務ができなくなります。同時に、こうした事務所の顧問先も「顧問税理士が亡くなったら、わが社の税務・会計業務はどうなるのか」という不安を抱えていることが少なくありません。

事務所を売却して規模の大きい税理士法人などに譲渡すれば、職員はもちろん、顧問先も安心させることができます。

・買い手のメリット

買い手側は、新たな顧問先と経験のあるスタッフを得られます。税理士資格はなくても、複数の科目合格を果たしている若手のスタッフを得られれば、買い手にとって短期間で業務拡大のチャンスにつながります。

税理士事務所・会計事務所の売却のデメリット

・売り手のデメリット

事務所を売却した場合、売却代金に対して税金がかかります。事務所が個人経営なら所得税、法人なら法人税がかかります。

・買い手のデメリット

事務所を譲り受けるメリットに「顧問先を引き継げる」と述べましたが、必ず引き継げるわけではありません。事務所の代表である税理士が顧問先と長い間信頼関係を築いていた場合、税理士の引退にともない、顧問先が離れてしまうケースがあります。

税理士事務所・会計事務所の売却の流れと価格相場

ここでは、税理士事務所・会計事務所を売却する流れや、売却価格の相場について解説します。

税理士事務所・会計事務所の売却の流れ

(1)事前準備

事務所を売却する理由や、売却先の条件などをまとめておきます。

(2)仲介業者選定

事務所の売却先を探し、売却価格や条件などを交渉するにあたり、仲介を手掛ける専門家の手を借ります。仲介業者には、銀行や M&A仲介会社などがあります。

(3)交渉

売却先の条件を仲介業者に伝え、候補者を複数ピックアップしてもらいます。候補の中から選んだ相手と秘密保持契約を結び、お互いの詳細情報を開示して交渉を開始します。

事務所の従業員にとっては、売却先が新たな職場となります。売却金額などの条件に加え、相手の経営理念や今後の事業展開など、従業員が安心して働ける環境かどうかも確認し、売却先としてふさわしいかを判断しましょう。

(5)デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、買い手が売り手の帳簿などを査定し、売り手が提示している売却価格や契約内容などが妥当であるか判断するものです。

(6)価格交渉・支払い

デューデリジェンスを踏まえ、必要に応じて売り手・買い手の間で価格交渉が行われます。買収の条件を細かいところまで詰め、最終譲渡契約書を取り交わします。売り手は買い手から売却代金を受け取ります。

(7)クロージング

「クロージング」とは、経営権移転の手続きのことです。買収の方法には株式譲渡や事業譲渡、合併などいくつかありますが、経営権移転の具体的な手続きは買収方法によって異なります。

たとえば、事業譲渡であれば、第三者による承認を得ながら資産や負債の移転、従業員雇用の引継ぎなどを進めます。

(8)PMI

「PMI」とは「ポスト・マージャー・インテグレーション(Post Merger Integration)=買収後の統合プロセス」のことです。買い手が、買収した事務所の資産や社員、顧客などを自身の組織になじませるために行う統合作業を指します。

税理士事務所・会計事務所の売却の価格相場

事務所の売却交渉を行うにあたり、相場を知っておくことが重要です。相場とはかけ離れた高額を提示して交渉が進まなかったり、デューデリジェンスの結果、買い手から相場以上の売却価格の値下げを要求されたりする事態を防げるからです。

税理士事務所・会計事務所の売却は、1年間の顧問報酬または2~3年分の営業利益を基準に売り手・買い手で交渉が行われることが多いです。売却価格の決定には、事務所の立地や売却の事情なども加味されます。

まとめ

事務所の売却を成功させるには、売却までの手順や相場を知り、あらかじめ売却条件を細部まで詰めておくことが重要です。さらに、買い手へ売却後、従業員や顧問先の離脱を防ぐために、準備段階で彼らに事情を十分説明したり、買い手候補と自事務所との相性をチェックしたりする必要もあります。売却の準備を進めるには、業界に精通した仲介会社に依頼することをおすすめします。

長谷川よう(ライター)
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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