工作機械製造業の業界動向
工作機械製造業界の市場規模
工作機械製造業界の現状・課題
受注総額は10年ぶり過去最高を更新
日本工作機械工業会の発表によると、2017年通年の工作機械受注額(速報値)は、前年比31.6%増の1兆6455億1600万円。外需は41.2%増の1兆161億8600万円、内需は18.6%増の6293億3000万円と、10年ぶりに過去最高額を更新した。
幅広い規模のプレーヤーが存在
高い技術力とカスタマイズ
工作機械製造業界では、顧客の要望に応じて、専門家された機能などカスタマイズされた製品が多いため、製品ごとにその都度プロセスや組み立てや仕上げの工程を変更することが難しい。
一部の大手企業が取り扱えないオリジナルの製品で戦うことができるため、中小零細企業やいわゆる町工場などであっても、優れた技術力「職人技」があれば競争力を高めることができる業界でもある。
ニッチな市場が多数存在
顧客の細かなニーズに応えていくためには、時間とコストがかかる。このような市場においては大量生産型の大手メーカーに比べて、小回りが利き、対応力の高い中小零細企業の得意とするところが多い。
【主要企業】
出所:各社の有価証券報告書等
【国内設備投資の推移】
出所:経済産業省「製造業を巡る現状と政策課題」
大手企業の海外生産へのシフト
リーマンショック以降は、海外生産へのシフトが加速。工業製品のデジタル化・モジュール化の進展により、設備を導入すれば、一定水準のレベルを保った製品は製造可能となったため、比較的安価な労働力の確保できる新興国への生産シフトは加速してきた。
一方で、為替の影響を受けやすく、主な生産拠点となっていたアジア諸国での人件費の高騰といった要因もあり、国内へ生産を戻す動きも一部で起きている。
事業所数は減少傾向
景気の影響をダイレクトに受けやすい
工作機械製造業界は、特に国内外の景気の影響を受けやすい業界といえ好不況の波が大きい。
人材の確保・育成の難しさ(労働者不足、技術継承不足)
製造される製品の品質確保については、優秀な技術者や技能者によって実現されている。機械化が日々進歩している中でも、人の手に頼らざるを得ない繊細かつ緻密な部分の多い工作機械製造業においては、人材の確保と共に人材育成、専門性の高い技術力の伝承の重要性は高いといえる。
【業種別 後継者問題の実態】
出所:帝国データバンク「2016年 後継者問題に関する企業の実態調査」
【工作機械業界の国内生産比率】
出所:(一社)日本工作機械工業会調べ、(株)国際協力銀行調べより、経済産業省作成
工作機械製造業界におけるM&A活用のメリット
- 後継者問題を解消できる
- 創業者利益を得てハッピー・リタイアができる
- 従業員の雇用を守ることができる
- 事業の選択と集中ができる
譲渡側のM&Aのメリット
- 新商品取扱いや生産体制の増強が図れる
- 資材の仕入れなど、スケールメリットを享受できる
- 得意分野や地域進出など、事業保管が図れる
- スキル・経験の豊富な人材を確保できる
譲受側のM&Aのメリット
機械製造業界のM&Aのポイント
- 工場の立地、生産体制、設備など
- 人員体制(有資格者のの人数、年齢構成、経験)、労務問題(雇用形態)
- 安定した販売体制や提案営業力の有無
- 売上債権回収期間が長期化していないか
- 新技術や新製品のへの対応力はどうか
機械製造業界のM&Aニュース
2020.5.27 | カネミツ、金属プレス製品を製造する津村製作所の全株を取得し子会社化 |
2019.4.22 | 新生企業投資、航空機部品メーカーのオノプラントを買収 |
2019.3.20 | 川澄化学工業と住友ベークライトが資本提携提携 |
2017.2.21 | 富士電波工業、制御盤設計の白光電気を子会社化 |
2019.1.16 | 日立ハイテクノロジーズ、アメリカの電子源製造会社Applied Physics Technologiesを買収 |