印刷業の業界動向
印刷業界の市場規模
印刷業界の現状・課題
圧倒的二強
業界の売り上げシェアを見ると凸版印刷、大日本印刷が二強として非常に高いシェアを誇る。
しかし、業界としては、従業員300人以下の中小零細企業が99パーセントを占めているが、それらの多くの会社が凸版印刷、大日本印刷の下請けや孫請けになっているという状況からも二強の寡占度の高さがうかがえる。
【主要企業】
参考:各社の有価証券報告書等
【業界シェア】
参考:各社の有価証券報告書等
市場規模は縮小傾向
2016年の製造品出荷額は5.5兆円を割るなど、ここ10年間は減少傾向が続いている。
インターネットの急速な普及によって、インターネット上で豊富な情報が簡単に取得できるようになったことに加えて、電子書籍の登場などにより、印刷物への需要が減少した。広告の主体は印刷物からインターネットへシフトしていることも印刷業界にとっては大きな打撃である。 リーマンショック以降は、広告費の削減が業界全体に大きな影響を与えたほか、木材チップやパルプなどの原材料の高騰や電気代などのコストアップが収支を圧迫するなど、厳しい状況が続いている。
インターネットの急速な普及によって、インターネット上で豊富な情報が簡単に取得できるようになったことに加えて、電子書籍の登場などにより、印刷物への需要が減少した。広告の主体は印刷物からインターネットへシフトしていることも印刷業界にとっては大きな打撃である。 リーマンショック以降は、広告費の削減が業界全体に大きな影響を与えたほか、木材チップやパルプなどの原材料の高騰や電気代などのコストアップが収支を圧迫するなど、厳しい状況が続いている。
ネットプリントサービスの普及
近年急速に普及していているのが、ネットプリントサービス。低価格で簡単に印刷物が注文できる。
デザインソフト等で手軽にデザインも個人で作成できるようになり、印刷用の原稿作成、データ入稿まで顧客自らが行うことができるようになった。従来のように印刷会社へ費用をかけて、デザイン・印刷を依頼する機会が減っている。
ネットプリントサービス自体は広がりをみせる一方で、価格競争はますます激しくなっている。
設備投資の負担
印刷技術の進歩に伴う品質維持や納期短縮の流れに追随するのためにも印刷機器やシステムの入れ替えが必要となる。
特に中小零細企業においては、これらの設備投資の負担が重くなる。
付加価値の高いサービスによる差別化
紙以外にも金属や布等の様々な物へ印刷する特別な印刷技法である、特殊印刷。例えば、印刷物に現物のような立体感をもたせる厚盛り印刷や立体的な視認性を持たせる3D印刷等がある。
紙媒体への印刷需要が減る中で、これらの特殊印刷や特殊加工の技術を活かす商品を取り入れたり、また、デザイン力や顧客への提案力を高めることによって付加価値を高めることにより同業他社との差別化をはかる必要がある。
【印刷産業出荷額推移】
出所:財務省「財政金融統計月報」-法人企業統計年報特集-
【印刷市場シェア】
出所:経済産業省「生産動態統計 2015年」
印刷業界におけるM&A活用のメリット
- 後継者問題を解消できる
- 創業者利益を得てハッピー・リタイアができる
- 従業員の雇用を守ることができる
- 事業の選択と集中ができる
譲渡側のM&Aのメリット
- 商圏の拡大が図れる
- 資材の仕入れなど、スケールメリットを享受できる
- 新商品の提供や地域進出など、事業保管が図れる
- 設備・人材を一括で取得できる
譲受側のM&Aのメリット
印刷業界のM&Aのポイント
- 工場の立地や規模、物流ラインなどはどうか
- 強みとなる商品や技術があるか
- 印刷工程や技術などは時代に即したものとなっているか
- 不採算ラインの有無やその程度
- 従業員の雇用管理はきちんとできているか
印刷業界のM&Aニュース
2020.3.27 | 巴川製紙所、有価証券印刷・ICカード製造の昌栄印刷を子会社化 |
2020.6.2 | 大日本印刷、可動式ベビーケアルーム「mamaro」を展開するTrimと資本業務提携 |
2019.9.20 | 日本創発グループ、ビジュアルコンテンツ事業Visolabの第三者割当増資引受け、子会社化 |
2019.7.24 | 共同印刷、クレハと簡易吸収分割にて同社のブローボトル事業を継承 |
2019.4.9 | 日本創発グループがスマイルの全株式を取得し子会社化 |