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事業承継のM&Aで費用はいくらかかる?費用の種類と税金について解説

事業承継のM&Aで費用はいくらかかる?費用の種類と税金について解説

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M&Aはしばしば、事業承継を目的として行われます。M&Aでは売り手・買い手ともに、M&A仲介業者に依頼してマッチングをしてもらうことが多く、譲渡代金以外に仲介業者に支払う費用が発生します。また、M&Aが成立すると、税金が発生することがあります。
この記事では、M&Aによる事業承継でかかる費用や税金について解説します。

事業承継の3つの方法

事業承継の方法には「誰に事業承継するか」の違いに応じて「親族内事業承継」「親族外事業承継」「M&A」の3つがあります。
・親族内事業承継…子や親族への事業承継
・親族外事業承継…役員や従業員など、会社の関係者への事業承継
・M&A…第三者への売却による事業承継
いずれの方法で事業承継を行う場合でも、外部の専門家の助けが必要になります。書類の作成や税金の計算などで、高度な専門知識が必要になるからです。

事業承継について相談に乗ってくれる専門家は次のとおりです。
● 弁護士
● 税理士
● 公認会計士
● M&A仲介会社

以上の専門家が挙げられます。親族内事業承継や親族外事業承継では、自社の顧問となっている弁護士や税理士に依頼することが多いでしょう。

一方、M&Aによる事業承継の場合、売却先を探して交渉したうえで事業承継を行うため、M&A仲介業者に依頼します。M&A仲介業者に依頼する場合、売却先候補の選定から交渉、M&Aの成立までの過程に応じて費用が発生します。また、買収先を探している会社もM&A仲介業者に依頼すると、成立までの工程に対して費用を支払います。

近年、親族内事業承継は減少の一途をたどっています。帝国データバンクや中小企業庁が行った調査によると、1987年には中小企業における事業承継の60%以上が親族内承継であったのに対し、2012年には5割を切るまでに減っています。替わって、親族外事業承継やM&Aを選択する企業は増えています。

次項では、M&A仲介業者に支払う費用について詳しく解説します。

事業承継のM&Aで仲介業者に支払う費用

M&Aによる事業承継でM&A仲介業者に依頼すると、売り手・買い手はそれぞれ以下のような費用を支払うことになります。これらは、まとめて「仲介手数料」とよばれているものです。

・着手金【売り手・買い手】

仲介会社に依頼をした時点で支払う費用です。売却を考えている側、M&Aによる買収を考えている側の双方に発生します。M&Aが結果的に成立しなかった場合でも返還されないので、注意しましょう。着手金がかかる仲介会社では、M&Aの過程で中間金が必要になることがあります。
また、最近は着手金や中間金を取らず、M&Aが成立した場合のみ報酬を受け取る「完全成功報酬制」の仲介会社が増えています。ただし、着手金や中間金が必要な業者と、成功報酬制の業者を比べたときに、後者のほうが最終的には高くなる場合もあります。事前にM&A仲介業者の報酬体系を確認しておきましょう。

・リテイナーフィー【売り手・買い手】

仲介業者に毎月支払う顧問料です。継続的な調査や交渉に対して発生する費用です。最近はリテイナーフィーを請求せず、成功報酬に含める業者もあります。

・デューデリジェンス費用【買い手】

デューデリジェンスとは、買い手が売り手企業の経営状況について行う調査のことです。売り手企業がどのようなリスクを抱えているか把握し、買収価格や条件を詰めるためにデューデリジェンスは欠かせません。
法務や財務・税務などの各分野について、弁護士や税理士など、各分野の専門家によって調査がおこわなれるため、調査する範囲によって費用が異なります。

・成功報酬【売り手・買い手】

M&Aが成立したときに支払う費用です。売り手・買い手ともに支払います。一般的に、成功報酬は「レーマン方式」という方法で計算されます。
レーマン方式は取引金額をもとに「報酬率」とよばれる一定の割合を乗じて、報酬金額を計算する方法です。報酬率は、取引金額が5億円以下なら5%、5億円超10億円未満の部分については4%などと設定されています。
たとえば、取引金額が8億円の場合、成功報酬額は以下のようになります。

5億円以下までの部分:5億円×5%=2,500万円
5億超~10億円までの部分:3億円×4%=1,200万円
計:3,700万円

なお「取引金額」が具体的に何を指すのか、M&A仲介業者によって異なります。売り手から買い手へ移動した総資産を指す場合もあれば、企業価値を指す場合もあります。M&A仲介業者との契約を結ぶときに、しっかり確認しておきましょう。

・経費【売り手・買い手】

M&Aの過程では契約書の作成や登記なども行われます。上記のような「仲介にかかわる費用」に含まれる場合もありますが、別途請求されることもあります。
契約書の作成費用は売り手・買い手の双方に発生し、所有権移転登記などの登記費用は買い手が負担します。

事業承継のM&Aでは税金にも気を付けよう

M&Aによる事業承継では仲介業者に支払う費用に加え、税金がかかることがあります。売り手にかかる税金と買い手にかかる税金について、それぞれ見てみましょう

〈売り手にかかる税金〉

・法人税(売り手が法人)…売り手が法人の場合、事業や株式の譲渡にともなって得た利益を本業による利益などと合算して算出した所得に対し、法人税等が課せられます。譲渡益よりも本業による赤字が大きい場合は課税されません。

・所得税(売り手が個人)…売り手が個人の場合、事業や株式の譲渡によって得た利益に対し、所得税等が課せられます。譲渡した資産の種類によって課税方法が異なり、分離課税・総合課税のいずれかの方式を採ります。
土地や建物、株式を譲渡した際は分離課税方式(他の所得と合算しない)、営利を目的として継続的に譲渡される資産などを譲渡した場合は総合課税方式(他の所得と合算する)で税額を計算します。
株式のように分離課税方式が採用される資産を譲渡し、譲渡益が出た場合は、他の所得の金額に関係なく、個人に所得税が課せられます。

・消費税…事業譲渡にともなって売り手から買い手に資産が移動した場合、課税資産があれば消費税がかかります。課税資産の例として、営業権や販売用商品、事業用の建物・機械・備品、特許権や商標などが挙げられます。

〈買い手にかかる税金〉

・不動産取得税…登記変更の有無にかかわらず、買い手が不動産を取得したときに課税されます。不動産の固定資産評価額に4%の税率を乗じて税額を決定します。
なお、土地・建物(住宅)ともに2024年3月31日までに取得したものに対しては、軽減措置が取られています。

・登録免許税…会社や不動産の変更登記などを行う際に課税されます。税額は対象となる手続きによって異なります。たとえば、土地の所有権移転登記に対する登録免許税は、固定資産税評価額に1,000分の20の税率を乗じた額になります。
不動産取得税・登録免許税については、事業承継税制による時限的な軽減措置があります。この特例を受けるには、2022年3月31日までに中小企業等経営強化法の認定を受ける必要があります。

まとめ

後継者がいない会社がM&Aによって事業承継を進めようとするときに、買い手候補を自力で探して交渉することは難しいものです。買い手候補を探してもらい、交渉や契約をサポートしてもらうためには、M&A仲介業者に依頼する必要があります。また、事業拡大などの手段として売り手を探している側にとっても、M&A仲介業者を頼るケースが多いでしょう。

売り手・買い手ともにM&A仲介業者に依頼すると、M&Aの過程でさまざまな費用を仲介業者に支払うことになります。また、M&Aの成立にともない、双方ともに税金が課せられることがあります。買い手は売却代金の支払いに加え、これらの費用や税金も念頭に置きましょう。

長谷川よう(ライター)
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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