食品小売業の業界動向
食品小売業業界の市場規模
食品小売業業界の現状・課題
総合スーパーは大手の占有率が高いが、それ以外の大多数は地場企業
圧倒的2強のイオンとセブン&アイホーイホールディングス、それに次ぐユニーグループ・ホールディングス、イズミの上位4社の合計で業界シェアの約50%を占める。
しかし、5位以下については、地場企業が大多数で、上場企業だけでも40社以上存在する。
価格競争においては、スケールメリットを利用できる大手が有利になるが、その地域内において数店舗から十数店舗程度の食品スーパーを経営する中小の地場スーパーも、ドミナント戦略で特定地域に集中的に出店したり、地域特有の食文化やニーズに合わせて商品展開をするなど生き残りをかけ、大手との差別化を図っている。
地域のスーパーは社会的な存在価値が高いため、後継者不在の場合などの事業承継の手段として、M&A(売却)を活用して大手スーパーへの傘下入りをする企業も多い。
【業界シェア(スーパーマーケット業界)】
出所:各社の有価証券報告書等
【総合スーパー事業所数の推移】
出所:各社の有価証券報告書等
少子高齢化による人口減で国内食品消費が頭打ち
国内外における食の安全性への関心の高まり
プライベートブランドの開発・展開
消費傾向の二極化
シニア層を中心に、食から健康をという健康志向を元に、割高でも質の良い物、安全性・信頼性が高いと感じられるものを選ぶ、
プレミアム消費傾向がみられる。若い世代、特段ファミリー層では、日常はPB品や特売を活用し、できるだけ安く節約をしたい
という節約志向の一方で、ハレの日はいつもよりも贅沢な外食をしたり、節約と消費を分けるメリハリ消費傾向が顕著にみられる。
ネットスーパーの普及
インターネット通販の急激な成長を続けるが、食品小売り業界においても高齢者世帯の増加による需要増や共働き世帯の増加等の影響
によりネットスーパーの普及が進んでいる。また、セブンイレブンジャパンが始めた、お弁当の配達の際に他の注文が無いかを聞く、
「御用聞きビジネス」も買い物難民となりうる高齢者世帯を中心にニーズが増えている。また、お取り寄せグルメなども引き続き堅調。
スマートフォンユーザーが増え、より手軽に利用できるようになったことも普及の要因のひとつか。
【スーパー業界の再編】
【販売額の推移】
出所:経済産業省「商業動態」等
食品小売業業界におけるM&A活用のメリット
- 事業承継者がいない事での廃業を免れる
- 従業員の雇用を守ることができる
- 大手と融合することでノウハウを吸収できる
- 大手との流通インフラの共有による仕入れメリットの享受
譲渡側のM&Aのメリット
- 物件や自在をスピーディーに確保できる
- 未出店地域への進出等商圏の拡大が図れる
- 仕入れなどスケールメリットを享受できる
- 地域シェアを獲得できる
譲受側のM&Aのメリット
食品小売業業界のM&Aのポイント
- 立地条件、アクセスが問題ないか、今後の人口動態や年齢構成を踏まえてどうか
- 人員体制と接客サービスのレベルと本部・店舗間、各店舗間、本部各部間の関係性
- システムの統一可否等、商品コードのルール確認、仕入先の選定
- 周辺地域において強力な競合の有無
- 商品開発、仕入が顧客ニーズに柔軟に対応できているか
食品小売業業界のM&Aニュース
2019.11.12 | エコスが与野フードセンターの全株式を取得し子会社化 |
2019.1.21 | バローホールディングス、富山でスーパーマーケットを展開する三幸の株式を取得 |
2018.10.31 | アルビスがオレンジマートの全株式を取得し子会社化 |
2018.10.11 | ドン・キホーテホールディングス、がファミマ傘下のユニーを完全子会社化 |
2018.8.29 | バローホールディングスがフタバヤの全株式を取得 |