調剤薬局の業界動向
調剤薬局業界の市場規模(令和元年度)
調剤医療費の市場は、2015年頃からはほぼ横ばいで推移している。また、1枚当たりの処方箋の平均単価、処方箋枚数についても、近年ではほぼ横ばい。処方箋枚数に至っては、過去15年間で初めて2019年に前年比を下回った。
【調剤医療費 推移】
【処方箋平均単価と処方箋枚数 推移】
出所:調剤医療費(電算処理分)の動向(厚生労働省)
調剤薬局業界の現状・課題
薬局数は年々増加、大手薬局チェーン企業も年々拡大
厚生労働省の発表によると、日本国内の薬局数は年々増加傾向で、その中でもドラッグストアなどを展開する大手チェーン店の店舗数が拡大傾向にある。また、個人など小規模の調剤薬局の比率は年々減少している。
【薬局数の推移】
※宮城県及び福島県の一部は集計されていない。
参考:一般診療所101,505施設、病院8,439施設(平成29年1月末日現在:平成28年医療施設調査)
参考:一般診療所101,505施設、病院8,439施設(平成29年1月末日現在:平成28年医療施設調査)
【同一法人の薬局の店舗数の推移】
出所:薬局数の推移ならびに同一法人の薬局の店舗数の推移(厚生労働省 中央社会保険医療協議会)
薬剤師数は年々増加傾向、それと共に有効求人倍率も低下
年々薬剤師数は増加傾向にあり、2014年では9倍近くあった有効求人倍率も、それ以降低下している。2020年には約4.5倍、2021年には約2.9倍まで下がっている。
【薬局に従事する薬剤師数 推移】
出所:薬剤師統計の概況(厚生労働省)
【医師、薬剤師等の有効求人倍率 推移】
出所:職業別一般職業紹介状況(厚生労働省)
OTC医薬品の規制緩和に伴う新規業界参入もあり、競争が激化
医薬品卸やドラッグストアなどの隣接業種が調剤事業を強化してきていたり、他、商社やスーパー・コンビニエンスストアなど異業種からの参入により、競争が激化。 そこに対抗すべく大手調剤薬局チェーンの出店・M&Aがますます活発に。中小薬局の生き残りはますます厳しいものになってきている。
ジェネリック医薬品のシェアが拡大
後発医薬品で低価格のジェネリック医薬品の日本でのシェアは、2013年には半分以下だったジェネリック医薬品ですが、徐々にシェアを拡大し、2020年には約8割まで増加した。
【ジェネリック医薬品数量シェアの推移】
出所:日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)
調剤薬局業界におけるM&A活用のメリット
- 事業承継問題の解決
- 薬剤師の確保
- 仕入れメリットの享受
- 患者の継続利用
譲渡側のM&Aのメリット
- 原価低減や間接コスト低減等のスケールメリットの享受
- 好立地な店舗物件の取得
- 処方元医療機関との関係を引き継げる
- 地域に定着している薬局を患者ごと引き継げる
譲受側のM&Aのメリット
調剤薬局業界のM&Aのポイント
- レセプト情報(月の処方箋の枚数、薬価差益・調剤技術料・薬学管理料の比率)
- 人員体制(薬剤師の人数・年齢・給与)
- 処方元医療機関(診療科目、集中率、医師の年齢と後継者の有無)
- 店舗運営(店舗不動産は自社所有か賃貸か、実地棚卸の頻度、医薬品の仕入先、店舗の営業時間と休業日)
- 営利企業とは異なり買い手候補が限定的
調剤薬局業界のM&Aニュース
2021.01.05 | クオールホールディングス、かつはら薬局(兵庫県で調剤薬局11店舗運営)を子会社化 |
2020.11.12 | ココカラファイン、フタツカホールディングス(関西で70店舗展開)を子会社化 |
2020.11.02 | 綿半ホールディングス、ほしまん(長野県で調剤薬局3店舗運営)を子会社化 |
2020.10.08 | クスリのアオキホールディングス、フクヤ(京都で食品スーパー8店舗運営)を子会社 |
2020.09.01 | ウエルシアHD、上新電機のドラッグストア「マザーピア」6店舗(関西地域)を取得 |
2020.06.04 | クスリのアオキホールディングス、ナルックス(石川県で食品スーパー5店舗運営)を子会社化 |
2020.5.18 | ウェルシアHD、愛媛県の地場調剤薬局ネオファルマー・サミットの2社を子会社化 |
2020.6.4 | クスリのアオキHDが、石川県で食品スーパー展開のルナックスの株式取得、子会社化 |
2020.6.1 | ココカラファイン、ユーエスケミカルの調剤薬局1店舗を取得 |
2019.10.11 | ココカラファインが調剤薬局運営のフライトを子会社化 |
2019.8.9 | クオールHDがセラ・メディックを買収、子会社化 |
2019.4.8 | クオールHD、佐賀・石川のナチュラルライフ2社をグループ会社化 |