M&Aの流れを解説!スケジュール策定から 専門家選び・契約まで
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【M&Aの流れ】
■M&Aを開始するための準備
M&Aを開始するには、専門家探し、選定、スケジュール作成などが必要です。M&Aを開始するための準備について詳しくみていきましょう。
最初に、M&Aの仲介やアドバイスを任せる専門家を探す必要があります。M&Aのサポートや仲介は、弁護士や公認会計士などに任せることも可能ですが、仲介会社かM&Aアドバイザーに依頼するのが一般的です。
仲介会社は、買い手と売り手を繋げ、交渉や契約の円滑化をサポートします。それに対してM&Aアドバイザーは、買い手と売り手のいずれかと契約し、より高く売却、あるいは有利な条件で買収できるようにサポートします。「M&Aコンサルタント」や「ファイナンシャルアドバイザー(FA)」とも呼ばれます。
専門家との秘密保持契約・アドバイザリー契約を締結する
M&Aのサポートを依頼する専門家を選定し、契約を締結しましょう。信頼性、実績などを確認するために、まずは無料相談することが大切です。M&Aを実行しようと考えている業種の実績が豊富か、経営者の気持ちに寄り添った対応ができるかなどをチェックしてください。
アドバイザリー契約の前に秘密保持契約を締結することが必須となります。アドバイザリー契約を締結するときには、契約書の内容が事前の話し合いで決定した内容と合致しているか確認が必要です。契約解除の条件、報酬体系、業務内容など、すみずみまで確認しましょう。
スケジュールを作成する
次に、M&Aを実行するスケジュールを作成します。企業価値は常に変動するため、高く売りたい場合はベストなタイミングでM&Aを実行しなければなりません。M&Aにかかる期間は半年~1年程度が多くなっています。
業務との兼ね合いでスケジュールが押す可能性がある場合は、余裕をもったスケジュールを設定しましょう。ただし、M&Aの実行のタイミングが遅れると、(価値を)高く売却できなくなる可能性があります。そのため、専門家と十分に話し合って、スケジュールを作成することが大切です。
■買い手企業を選定するための準備
企業や事業を譲渡する相手である買い手企業を選定します。M&Aの目的を達成できる買い手企業を選定しましょう。専門家に要望を伝えることで、自社に合った買い手企業を選定してもらえます。ここでは、買い手企業を選定するための準備について解説します。
ノンネームシートの作成
仲介会社やM&Aアドバイザーに、売り手企業の情報を提供します。専門家は、資料をもとにノンネームシートを作成し、買い手候補へと提示します。ノンネームシートとは、会社名を明かさずに買い手企業に売り手企業の情報を伝える資料です。
事業内容や売上高、大方の所在地、従業員数などを特定されない範囲で記載します。買い手側は、限られた情報に基づき、買収先候補に相応しいかどうか判断することになります。
買い手企業の候補を挙げる
専門家が買い手企業の候補を挙げます。事前に、専門家と売り手企業の間で買い手企業の条件を定めておきましょう。M&Aを実行する目的を達成できる買い手企業を見つける必要があります。
買い手候補に求める条件が厳しすぎると、候補が少なくなり、M&Aに失敗するリスクが高まります。
■買い手企業を決定する
ここでは買い手企業の候補を選ぶためのノンネームシートの提供、ネームクリア、交渉まで詳しい流れを解説します。
ノンネーム資料を提供する
まずは、買い手企業の候補を絞りこみ、ノンネームシートで提案します。この段階で相性が悪い、求める企業・事業ではないと判断された場合は、買い手候補からアプローチがきません。
詳細な情報を提供する
ノンネームシートの内容を踏まえ、譲受を希望する買い手企業が現れたら、次はネームクリアの手続きを行います。ネームクリアとは、会社名の開示を含め、より具体的な情報を記載した資料を提供することです。より具体的な情報を得ることで、M&Aを進めるべきかどうか判断しやすくなります。
面談する
買い手企業と売り手企業の両方がM&Aの成立に向けて積極的な姿勢を示せば、次はトップ面談を行います。買い手と売り手のトップが面談して、経営理念や社風、収益性、シナジー効果の有無などについて話し合い、本当にM&Aを実行すべきかどうかを考えます。
交渉する
次に、希望売却額を伝えて価格や条件を交渉します。不利な条件を承諾する代わりに売却額を高くしたり、絶対に譲れない条件を提示したりと、交渉にはテクニックが必要です。M&Aの専門家のサポートを受けながら、交渉を有利に進めましょう。
■M&Aの契約を進める
交渉で契約内容の詳細が決まったら、次の流れで契約を進めます。
基本合意書を締結する
基本合意書には、次の項目を記載します。
-
・M&Aの方法
・譲渡価格
・交渉期間
・最終契約を締結する時期
・独占交渉権や秘密保持契約に関する項目
上記のうち、独占交渉権は他の企業とM&Aを進めないことを約束するものです。基本合意書の内容は、弁護士によるリーガルチェックが必要なため、あらかじめ手配しておきましょう。
秘密保持契約書を締結する
秘密保持契約とは、M&Aに関する情報を外部に漏らさないことを約束する契約です。M&Aの情報が外部に漏れることで、他社がより良い条件でM&Aの話を持ちかける可能性があります。また、取引先に情報が漏れることで取引が停止される恐れもあるでしょう。
そのほか、従業員に知られることで、次々と退職者が出る心配もあります。
デューデリジェンスの実施
買い手企業が売り手企業に対してデューデリジェンスを実施します。デューデリジェンスとは、訴訟のリスク、簿外債務、減損リスクなど、法務・財務・税務のリスクを調査することです。
税理士や弁護士、公認会計士などの専門家がデューデリジェンスに関わります。
最終条件の交渉
最終条件の交渉では、株式の配分、従業員の扱い、社長の処遇、譲渡代金の支払い方法などを決定します。他の条件と同様に、慎重に決定しなければトラブルのリスクが高まります。
M&Aの手法次第で、株主総会の開催が必要です。株主総会の承認を得ることで、M&Aを実行できます。株主の反発を受けた場合、計画が頓挫する可能性があるでしょう。そのため、M&Aにどのような利益、メリットがあるのかを資料にまとめ、わかりやすく説明する必要があります。
最終契約を締結する
これまでの交渉の結果に基づき、最終契約書を作成します。最終契約の締結をもってM&Aが成立するため、内容には十分に注意が必要です。弁護士によるリーガルチェックも行ったうえで、最終契約を締結しましょう。
従業員や取引先に公表する
M&Aを実行した旨を従業員や取引先に伝えましょう。その際には、譲渡後も引き続き会社のために協力してほしい旨を伝えることが大切です。従業員が大量に辞めると、買い手企業が期待していたシナジー効果を得られなくなる可能性があります。
また、取引先にも納得してもらえるように、M&Aを実行した理由や想いを伝える必要があります。
■まとめ
M&Aを成功させるためには、流れを把握したうえで専門家と密にコミュニケーションをとる必要があります。専門家に任せっぱなしだと、思い描いていたM&Aを実現できません。M&Aの準備、買い手企業の選定、交渉、最終契約、従業員や取引先への公表までの流れを把握しておきましょう。
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