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これで安心!事業売却時のM&Aの具体的な手続きの流れ
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■後継者不在の時に考えるべきこと
清算・廃業のメリット・デメリット
(メリット)
後継者不在の中、会社の清算・廃業を検討される代表者の方も少なくありません。清算・廃業することで残余財産は株主に分配されますので、オーナー社長は創業者利益を得られる可能性があります。
(デメリット)
清算する場合、企業の価値はあくまで精算時点の換金価値となりますので、将来的な企業の利益等「のれん」にも価値がつくM&A(売却)と比べて創業者利益は低くなるのが一般的です。
また、建物や在庫などの資産を現金化しても借入総額を返済できない企業もあり、そのような場合は創業者利益を得ることはできません。
その他にも従業員を解雇しなければならない点、取引先へ迷惑をかけてしまう点などがデメリットとして挙げられます。
M&Aは早めの相談が大切
M&Aは早めに専門家に相談するようにしましょう。売却先がなかなか見つからないこともあります。売却先がみつからなければ、結果として清算・廃業しか選択肢がなくってしまったということにもなりかねません。早めの相談、情報収集が大切です。
また、売買成立までに数年の期間が空く場合は、その間にB/S(貸借対照表)P/L(損益計算書)を整理し、企業価値を高め、より高値で売却することも場合によっては可能です。
例えば、節税をし過ぎていて企業価値が低く出てしまう場合もありますので、売却までの2期は無理な節税をしない等の工夫をすることで価値を高めることができます。
他にも過大になっている負債の返済や不良性在庫の処分などで企業価値を高められる可能性があります。
オーナー社長の保有する不動産を企業が何らかの形で利用している(担保提供や本社、工場等)場合、法人と個人との線引きを明確にしておく必要がありますが、不動産の権利関係の整理は相応に時間がかかってしまいます。早めに相談し、少しずつ解決していくようにすることが大切です。
■M&Aの専門家との契約から匿名情報による候補先選定
M&A専門家との契約「仲介契約」と「アドバイザリー契約」
M&Aの専門的なアドバイスは税理士等の士業、金融機関、コンサルティング会社、等でサービスを提供しています。専門家との契約は「仲介契約」と「アドバイザリー契約」の2種類があります。「仲介契約」とは1社の仲介業者(専門家)が譲渡側企業と譲受側企業の両方と契約し、双方に中立的に助言をする契約です。「アドバイザリー契約」とは譲渡側企業と譲受側企業がそれぞれで異なるアドバイザー(専門家)と契約し、それぞれの企業がそれぞれのアドバイザーから助言を受ける契約です。
「仲介契約」「アドバイザリー契約」双方とも一長一短がありますが、最初の相談は複数の専門家に会って話を聞き、自社に合った専門家を探すほうが良いでしょう。また、行なってくれる業務の範囲と着手金などの料金体系についてもしっかり確認しておくようにしましょう。
匿名情報による候補先選定
次に専門家にお願いして売却候補先を探してもらう手続きに入ります。この際に、社内外に売却を検討していることが漏れないように専門家と自社で秘密保持契約を締結します。
この秘密保持契約を締結し、なおかつ売却先のイメージを担当者へしっかりと伝えた上で候補先を探してもらいます。売却先のイメージでは、例えば同業他社で他県の企業が良い等、条件を具体的に伝えておくようにしましょう。
担当者は貴社の情報から会社名を伏せた企業概要書(ノンネーム情報と呼び、会社名を伏せて特定されないようになっています)を作成し、候補先に提供します。貴社は担当者がいくつかの候補先をリストアップして持ってきてくれるのを待ちます。業種などにもよりますが、昨今は中小・中堅企業の買いニーズが複数ありますので、候補先は1社だけでなく複数社でてくる可能性が高くなっています。
■トップ面談とデューデリジェンス
トップ(経営者)の面談と交渉
(トップ面談)
売却候補先の中から貴社の気になる会社が出てきたら担当者に相談しましょう。候補先企業も前向きに検討している段階にはいればトップ面談になります。この面談では専門家(担当者)と2社の代表者の3者で面談することになります。
内容はケースバイケースですが、自己紹介や会社の事業内容や歴史と現状、代表としての経営の考え方、方向性等を話すことが多いでしょう。担当者と相談しながら、どこまで話し合うかを事前に確認しておくのも良いでしょう。
(交渉)
トップ面談を終え、前向きに検討できそうな相手であれば交渉をスタートして欲しい旨を担当者に伝えます。売却価格、従業員の待遇など、細かい2社の要望を担当者が間に立って調整していきます。
(基本合意)
交渉が合意すると、基本合意契約を締結します。基本合意契約書にはこれまで交渉してきて合意できた内容が記載してあります。
デューデリジェンス(事業性評価)
デューデリジェンスは日本語で事業性評価、買収監査、DDなどと呼ばれておりM&Aの手続きの中で必須のものとなっています。一般的には譲受側企業が専門家を雇い事業調査を行います。ビジネスモデル全体、財務、法務、人事等あらゆる調査が行われるため譲渡側企業(貴社)は資料提出など、実務面で相当な負担を負います。調べられる側としてはあまり良い気分では無いかもしれませんが、デューデリジェンスは基本合意書やその前段階で譲受側企業が得ていた情報が本当に確かで問題ないかを確認するためのものですので、丁寧に対応しなければなりません。
■最終契約とクロージング
最終契約と代金受領
(最終契約)
デューデリジェンスで大なり小なりの問題が発生した場合は再び交渉を行います。デューデリジェンスを終え、譲受側企業が買収する意向を固めた場合、最終契約締結となります。基本合意書の内容をベースに、デューデリジェンスの過程で再度交渉し変更になった点などを整理しながら最終契約を締結します。
最終契約には基本合意書と同じように、価格や売買の対象となる範囲、従業員の処遇等が記載されます。
(代金受領)
株式譲渡の場合であれば、譲渡側企業(貴社)で譲渡にかかる取締役総会等の手続きを済ませ、株式譲渡契約を譲受側企業と締結して株式の譲渡と対価の支払いが行われます。中堅中小企業の場合、未上場株式である場合がほとんどですので、相対取引となります。株式が少数で複数に分かれている場合、名義株がある場合など、譲渡側企業(貴社)で解決しなければならない問題が発生することも多くあります。そのような場合は基本合意締結前後で担当者と対応を検討しておく必要があります。
M&A後のコンサルティング
売却後の従業員の処遇を気にかけられる譲渡側企業の経営者も多いでしょう。社風が合わなくなって社員が大量に辞めてしまう等の問題は譲受側企業にとってもリスクです。譲受側企業のアドバイザーがきちんと統合後のフォローもするのか、交渉のプロセス等で確認すると良いでしょう。
■まとめ
M&A(株式譲渡・事業譲渡)の全体的な流れについて、譲渡側企業の視点でご紹介しました。従業員・取引先に迷惑をかけず、かつ創業者利益を最大限に得られるよう適切な企業に売却するには専門的な知識と交渉が必要不可欠です。税理士等いくつかの専門家に相談しながら早めに行動することをおすすめします。
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