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後継者問題をM&Aで解決!自社株(非上場株式)の評価方法とは?

後継者問題をM&Aで解決!自社株(非上場株式)の評価方法とは?

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後継者不在の問題を抱え、事業の「身売り」を検討されている経営者様も多いと思います。中小企業のM&Aは事業譲渡か株式譲渡の2つが主な検討方針になりますが、今回はその違いと、検討する際にポイントとなる未上場株式(自社株)の評価方法についてご説明します。

■日本国内で増加傾向にある中小企業のM&Aそのメリットと種類

中小企業にとってM&Aのメリットとは?

会社を売却することをネガティブに捉える方もいらっしゃいますが、後継者不在の中、事業を存続させるための手段として非常に有用です。経営者様にとって会社を売却するメリットは主に2点あります。

 

  • メリット1:事業売却を行うことで従業員の雇用を維持することができる。
  • メリット2:創業会社の株式売却でキャピタルゲインを得ることができる。

 

中小企業が行うM&Aの種類は2種類

M&Aはまず、「買収」と「合併・分割」の2つに分かれます。その内「買収」は「株式譲渡」と「事業譲渡」の2つに分かれ、どちらを選ぶかは譲渡企業、譲受企業との相談で決まります。

「株式譲渡」とは譲渡企業の所有者が持っている株式を譲受企業に譲渡することで子会社になる方法を言います。

「事業譲渡」とは譲渡企業の事業の全部もしくは一部を譲渡する方法です。手続きは株式譲渡以上に煩雑になりますが、売りたい個別の事業だけを売却することも可能です。

増加傾向にある国内中小企業のM&A

中小企業庁の調査によると未上場企業間のM&A件数は1996年には200件以下だったのに対し、2014年には約700件程度にまで増加しています。日本国内の中小企業経営者の年齢のピークはここ20年間で47歳から66歳へと上昇しています。経営者の高齢化が進む中で、事業を継続するための手段としてM&A(株式譲渡や事業譲渡)が定着しつつあることが伺えます。

参考:中小企業庁「事業承継に関する現状と課題についてH28.11.28」

 

■「自社株の評価方法」は3種類!

取引相場のない株式(未上場株式)の算定はM&Aを検討する上で最も重要なポイントです。事業譲渡にせよ株式譲渡にせよ、まずは自社の分析=自社株の評価がなければ話は進みません。ここでは3つの評価方法の基本的な考え方をご説明します。

類似業種比準方式(原則的評価方式)について

類似業種の上場株式の株価から比較算定する方法です。比較対象とする上場株式の株価の変動に伴い算定する時期によって評価額が変わるという特徴があります。また、純資産・利益・配当額が高い企業ほど株価が高くなる傾向にあります。計算式は下記の通りです。

 

『類似業種比準方式』

A × { b/B + c/C × 3 + d/D } × 1/5 × E × 1株当たり資本金等の額/50円

 

A: 類似業種企業の株価      ~上場企業株価を元に国税庁が公表しています。
B: 類似業種1株あたり配当金 ~同上
C: 類似業種1株あたり利益   ~同上
D: 類似業種1株あたり純資産  ~同上
b: 自社1株あたり配当金      ~直近2期の平均です。特別配当等は除きます。
c: 自社1株あたり利益         ~直近2期の平均利益と直近期の利益いずれか低い方
d: 自社1株あたり純資産     ~直近期の簿価
E: 調整率 (大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5) ~大会社・中会社・小会社の判定基準は後述。
純資産価額方式(原則的評価方式)について

自己資本・含み益が大きい企業は評価額が大きくなる傾向にあります。計算式は下記の通りです。

 

『純資産価額方式』

(相続税評価による純資産の評価額) − {(相続税評価による純資産の評価額) –(帳簿価額による純資産の額) }× 37%  ÷ (発行済株式総数)

 

*相続税評価による純資産の評価額
(A: 相続税評価による資産の評価額)から(B: 相続税評価による負債の評価額)を差し引いたものであり、含み益に法人税等を引いた純資産価額です。Aについて、帳簿価格がなくても相続税評価額があるものは資産として計上します。
*帳簿価格による純資産の額
(C: 帳簿価格による資産の評価額)から(D: 帳簿価格による負債の評価額)を差し引いたもの。Cについて前払費用等で資産性のないものは除外します。Dについて未払税金は計上します。
配当還元方式(特殊的評価方式)について

詳細は後述しますがこの方式は少数株主に適用される方式です。配当実績をベースに下記のように計算します。計算式から読み取れる通り、10%の配当を標準として算定します。

 

『配当還元方式』

年配当金額 / 10% × 1株当たりの資本金等の額 / 50円

 

*年配当金額は直近2期の平均で、1株あたりの資本金などの額を50円とした場合。

 

■「自社株の評価方法」はどれを選べば良いか?

未上場株式の算定方式が3つあることはご説明しましたが、どれでも自由に選んで良いものではありません。どの方式を適用するかは「会社の支配権」と「会社の規模」によって決まります。

「自社株の評価方法」は会社の支配権によって変わる!

株主が会社を支配しているかどうかによって評価方式が決まります。会社を支配している場合(=支配株主の場合)は類似業種比準方式・純資産価額方式いずれかになります。会社を支配していない場合(=少数株主の場合)は配当還元方式となります。

単純に発行済株式総数の50%以上を所有していれば支配株主となるわけではなく、同族株主と同族以外の株主との割合等で支配しているかどうかが決まりますので注意が必要です。基本的には同族関係者で30%以上を所有する株主は原則的評価方式になり、その他の少数株主は配当還元方式となります。

参考:国税庁「同族会社の判定」

「自社株の評価方法」は会社の規模によって変わる!

支配株主の株式を類似業種比準方式・純資産価額方式のどちらで評価するかは会社規模によって変わります。会社規模は「大会社・中会社・小会社」の3つにわかれており、どの規模に該当するかは「①従業員数、②取引金額基準、③従業員数を加味した純資産基準」の3つを判断基準とします。例えば、従業員数が70人以上の場合はその時点で大会社となり、類似業種比準方式と純資産価額方式の評価額の内、いずれか低い方が適用されます。70人未満の場合は②取引金額基準③従業員数を加味した純資産基準のいずれか大きい方で判断されます。例えば、小売・サービス業の企業で取引金額10億円、総資産価額3億円、従業員数5人超の場合は中企業となります。

参考:国税庁「会社規模の判定基準」

 

■まとめ

中小企業のM&Aを検討する上で最も重要な未上場株式の評価方法についてご説明しました。基本的な算定方式は3種類のみですが、企業の株主構成や事業規模などでどの方式を選択すべきかが異なります。また、開業後3年未満の企業や株式保有特定会社などはまた異なる評価方式になります。M&Aではこのような特殊で細かい知識が必要になりますので、検討される方は顧問の税理士だけでなく、M&Aに強い税理士等に早い段階で相談することをおすすめします。

uen0(ライター)
政府系金融機関にて約5年法人融資業務に従事。年商1,000万円から200億円まで様々な規模、業種を担当。融資だけでなく、外為、M&A等にも携わる。現在は自身の起業を準備をする傍、個人事業主や起業家向けコンサルティング業務を行っている。
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