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後悔する前に知っておきたい、M&Aのデメリット・課題・問題点・リスク

後悔する前に知っておきたい、M&Aのデメリット・課題・問題点・リスク

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M&Aは、複数の企業のますますの発展を期して行われる大規模な契約となります。ただ、M&Aの未来は必ずしもバラ色ではなく、一定のデメリット・リスクは存在します。その点を踏まえて決断しなければなりません。ここでは多様なM&Aの中でも、主軸である「買収」「合併」に絞って解説します。

■M&A 買収する側のデメリット

デューデリジェンスで見つからなかった問題点が見つかる

M&Aの契約に先立って、買収先(合併先)企業の隠れた瑕疵について、徹底した事前リサーチを行うことにより、リスクを回避しようとする諸手続をデューデリジェンスといいます。

一般的にデューデリジェンスは、会計面や法的な側面において、公認会計士や弁護士といった専門家も交えて重点的な調査が行われるものです。しかし、そのようなデューデリジェンスを経ても見つからないままにM&A契約を締結してしまうと、後で致命的な問題を引き起こしかねません。その代表的なものに「簿外債務」があります。簿外債務とは平たく言えば貸借対照表のような財務諸表に現われない債務をいいます。たとえば、別会社の債務を保証していて、その債務を肩代わりしなければならないリスクを内包していたり、民事裁判において被告として係争中で、敗訴の場合に突発的な損害賠償義務などを追う危険性を抱えている場合です。もっとも、法的なデューデリジェンスを強化して、こうした簿外債務をくまなく探すことが一番ですが、一定の限界もあります。特に、未上場の中小企業には、情報公開や会計監査の法的義務がないため、簿外債務が見つかりにくい特性がありますので、M&Aの相手方とする際には注意が必要です。

相乗効果を見いだせず、ビジネス上の相性が合わない

M&A相手企業における付加価値のことを、「のれん」といいます。特に資産額として定量的に評価されない企業の付加価値を指します。たとえば、ブランド力などの対外的な信用や、雇用している優秀な人材の価値、顧客リストの価値、同業者が関わらない独自の販売ルートなどを指します。

M&Aに際しては、こうしたのれんの価値も便宜上、定量的に評価する場合があります。しかし、のれんが本来は無形的な価値である以上、M&A後にその価値が減損してしまうリスクも否定できません。のれん代の減価償却費が利益分を上回って赤字となることもあります。殊に未上場の中小企業においては、のれん価値の算定が難しく、買収する側の企業が実際の価値よりも対価を支払いすぎてしまうこともありうるのです。

海外M&Aの場合に特有のリスク

中には諸外国の有望企業に目を付けて、M&Aを講じる日本企業もあるでしょう。異文化に触れることが苦手で国内に閉じこもりがちな日本企業において、海外に目を向けて自社発展のために視野を広げることは望みがあります。

ただし、安易に海外企業のM&Aを講じるべきではありません。現地の法律や税制などの制度をよく調べていなかったために、後になって思わぬ損害をこうむるおそれもあるからです。言語を習得するだけでは不十分で、現地の会計士や税理士、弁護士などと提携する手間や負担を怠ってはなりません。

 

■M&A 買収される側のリスク

企業文化・社風を合わせるコスト

M&Aにおいては買収される側の企業にも、一定の負担があります。買収する側の人材が新たに職場に加わってくることが多いからです。そして、事実上の力関係から、買収される側が買収する側に、企業文化などを合わせなければならないおそれがあります。たとえば、働き方の自由度、労働条件、情報のやりとり、会議の進め方、評価制度など、M&Aに際しては両者の擦り合わせが必要な場面が少なくなく、買収企業側の意向に、なかば強引に迎合させられてしまう場面もありうるのです。

そこで、昨今ではM&A成立後の統合プロセス、すなわち「PMI(Post Merger Integration)」の重要性が注目されています。複数の企業が融合し、シナジー効果を生むためには欠かせない過程といわれています。ただし、PMIで配慮すべき項目は多岐にわたりますので、できればデューデリジェンスと同様に、PMIコンサルタントなどの専門家に依頼してアドバイスを仰ぐのが望ましいでしょう。

従業員のいざこざ・士気低下

たとえ、PMIなどの取り組みによって、M&A当事者企業双方の文化や社風、経営システムなどを統合できたとしても、まだ問題は残ります。会社は「人」によって成り立っており、人の感情、喜怒哀楽を無視しては成り立ちえません。

たとえ客観的には統合できたように見えても、M&Aの当事者であるお互いの企業の従業員同士で、感情的ないざこざや勢力争いなどもありえます。経営陣にとっては些細な争いのように見えても、従業員にとっては就業時間のほぼ全てを不快感で支配されるおそれがあり、生産性が下がるリスクとも隣り合わせです。

また、中小企業では社長のキャラクターや人望に魅せられて従業員が付いていく場合も少なくありません。M&Aによって、買収された企業の代表取締役が交代させられることもあります。慣れ親しんだ代表がM&Aをきっかけに交代させられることによって、社内では従業員のモチベーションが低下してしまうこともあるのです。交代した代表に局地的とはいえカリスマ的な人気があり、社内外で支持されていた場合には、取引先からの信頼度低下にも繋がりえます。これも、買収企業側の力関係が強いために起きうるのですが、被買収企業側を取り巻くビジネス環境にまで配慮できていなければ、思いがけないタイミングで足を取られるおそれもあるのです。

希望どおりのM&A相手が見つからない

特に中小企業で、経営者の高齢化に伴って「跡継ぎ探し」、すなわち事業承継の必要性から、M&Aを希望することがあります。事業承継を目的としたM&Aは、急いでしまいがちではありますが、そんなときこそ「急いては事をし損じる」を心得て、慎重に検討する必要があるのです。業界によってはM&Aが「売り手市場」となっている場合もあるため、足元を見られないよう、条件面では譲れない線引きを明確にした上で交渉の場に臨むようにしましょう。

M&A相手をマッチングする専門のエージェントを利用して相談を入れることもひとつの方法です。譲れない条件を明確にしつつも、基本的にはエージェントに委ね、任せてみると、M&Aが成立する可能性が上がり、時期も早まりやすいでしょう。

 

■まとめ

M&Aは「その後」どうなるのかという将来像まで含めて、慎重に検討されなければなりません。M&Aを仲介する専門のコンサルティング企業があり、そこにアドバイスを求めることも大切です。ただ、それでも完全には将来像を読み切ることはできないのです。ある程度のリスクはあらかじめ織り込んだ上でM&Aに臨む必要があります。

みそしる(ライター)
紙媒体も含めて10年を超えるキャリアがあるフリーランスライター。法律・経済・政治のコンテンツ制作を得意とする。
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