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M&Aを行うことを話すタイミングはいつ? 社員への伝え方と注意点
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■社員への伝え方を誤ることのリスク
まずは、M&Aの事実を社員に伝えるタイミングや伝え方を誤ることのリスクについて詳しく解説します。
根も葉もない噂が出回り現場が混乱する
M&Aを伝えるタイミングが早すぎたり、十分な情報を伝えなかったりすると、根も葉もない噂が出回り、現場が混乱する恐れがあります。M&A後に出向させられたり給与が大幅に減額されたりするといったネガティブな噂が出回ると、目の前の業務に集中できなくなるでしょう。
また、特定の社員が異動する噂が流れれば、誰にどの業務を割り振るべきか混乱が生じる可能性があります。
退職者が増える
M&Aでは、赤字の事業を売却するケースがあります。また、経営者が悠々自適な隠居生活に入りたいために、他社へ会社を譲渡する場合もあるのです。このような理由によるM&Aは、社員にとってネガティブなものであるため、多数の退職者が出る恐れがあります。
そうなれば、人材不足によって業務遂行が困難になる可能性もあるでしょう。また、M&Aでは人材を含めた企業価値を算定するため、過度な人材流出はM&Aの契約の見直しに繋がるのです。M&Aが白紙に戻りかねないため、伝えるタイミングや伝え方には十分な注意が必要です。
不安によってモチベーションが下がる
M&Aの事実を伝えるタイミングが早すぎたり遅すぎたりすると、社員は不安に感じます。このまま働き続けるべきか、すぐにでも転職するべきか悩み、仕事に対するモチベーションが大きく低下するでしょう。モチベーションの低下は、パフォーマンスの低下に直結します。M&Aを進めている段階で業績が大きく悪化すれば、契約の見直しが入る可能性もあるでしょう。
また、1人のモチベーションが低下してパフォーマンスを発揮できなくなれば、他の社員への負担が増します。連鎖的に社員に影響が出てしまい、事態のさらなる悪化を招きます。
■M&Aについて社員に話すタイミング
それでは、M&Aの事実は、いつ社員に話すべきなのでしょうか。全ての社員に同じタイミングで話すのではなく、社員の立場や役割に応じたタイミングの決定が大切です。それでは、社員に話すタイミングについて詳しくみていきましょう。
役員には基本合意締結前に話す
基本合意締結前は、基本的に誰にも話してはいけません。ただし、役員の中でもビジネスパートナーと思われる人物には話しておきましょう。ビジネスパートナーは、M&A後も関係が続き、今後の人生に深く関係する可能性があります。基本合意締結前にM&Aの事実を伝えておかないと、信頼を失う恐れがあるでしょう。
基本合意締結後は、M&Aにおける諸条件がある程度確定した段階です。基本合意締結前にビジネスパートナーに話しておき、必要に応じて条件交渉の場に出てもらいましょう。M&Aにある程度関わる場合、信頼関係がより強固なものになります。
基本合意締結後に話す社員
基本合意締結後には、会社の重要なポストにつく人物と財務経理の責任者、その他自分が話しておいた方がいいと思う人物に伝えましょう。基本合意を締結した段階では、まだM&Aが確定していません。しかし、ほぼM&Aの実行は確定しているため、今後も含めて重要人物に話しておくことが大切です。
重要人物がM&Aに対して理解があれば、他の社員をうまくまとめ上げてくれるでしょう。また、財務経理の責任者に伝える必要があるのは、買い手によるデューデリジェンスが実施される可能性があるためです。また、企業価値を算定する際にも、財務経理の協力が欠かせません。
クロージング後に他の社員に話す
他の社員にM&Aについて話すタイミングは、クロージングの後です。最終契約の締結によってM&Aの実行が確定し、クロージングしてから話す場合、退職者が増える事態を防げます。
M&Aが確定してから知らされる場合は不満を感じる社員もいますが、企業にとっては、いかに業務への支障を抑え、退職者が増える事態を防ぐかが重要です。
■M&A後の社員の扱い
M&A後の社員の扱いは、契約内容によって異なります。M&Aの実行について伝える際に、社員の扱いも同時に伝えましょう。M&A後の社員の扱いについては、次のようなパターンがあります。
待遇や勤務先に変更なし
待遇や勤務先に変更なく、経営者だけが変わるパターンです。ただし、しばらくすれば方針が変わり、待遇が悪くなったり異動を命じられたりする可能性があります。これまで通りの条件で雇用を維持したい場合は、M&Aの条件に加えておきましょう。
待遇に変化があるが勤務先に変更なし
待遇が悪くなったり良くなったりするものの、他の支社への異動などは行われないパターンです。M&Aでは、従業員の待遇改善を目的とするケースがあります。その場合は、M&A後に待遇が良くなるでしょう。
待遇は変わらないが勤務先が変わる
待遇は変わらないが、他の支社や本社への異動を命じられるパターンです。適切な人員配置は、事業を成功させるために欠かせません。M&Aで経営者が変われば経営方針や人材配置の考え方も変わるため、支社や本社への異動を命じられる可能性は十分にあります。
条件を満たしている場合に限り整理解雇される
M&Aのときに社員が不安に感じるのが整理解雇です。整理解雇は、いわゆるリストラのことで、次の条件を満たした場合にのみ実行できます。
- ・人員整理の必要性
- ・解雇回避の努力
- ・対象者選定の合理性
- ・手続の妥当性
これらの条件を満たしていない場合は、M&Aを機会にリストラされる心配はありません。もし、リストラした場合は不当解雇にあたります。
■M&Aについて社員に話すときのポイント
M&Aについて社員に話すときは、次のポイントを押さえましょう。
全員に速やかに伝える
M&Aを社員に伝えるときは、一度に全社員に伝えることが大切です。タイムラグがあると、他の社員が間違った情報を伝えてしまい、不安にさせる恐れがあります。朝礼や会議などで一度に伝えれば、情報の伝達や情報の質に差が生じません。
重要な経営方針の発表とだけ伝える
社員を一堂に会する場を設けるときは、M&Aについて話すことは当日まで伏せましょう。重要な経営方針の発表とだけ伝えておくことが大切です。M&Aについて話すことを伝えると、当日まで社員を不安にさせてしまいます。
可能な限り質問に答える
M&Aを実行する旨を伝えた後は、社員からさまざまな質問が飛び交うでしょう。できる限り質問に答えて、不安を解消させることが大切です。場が混乱しないように、後日に個別での回答も検討してください。
■まとめ
M&Aについて話すタイミングは、社員や役員の立場や重要度によって変えることが大切です。適切なタイミングで正しく伝えると、社員を不安にさせたり業務に影響を及ぼしたりする事態を防げます。M&Aの際には、社員に話すタイミングと伝え方のポイントを押さえておきましょう。
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