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M&Aを実行すると従業員はどうなる? 扱いや待遇の変化とは

M&Aを実行すると従業員はどうなる?  扱いや待遇の変化とは

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M&Aで会社や事業を第三者に譲渡した場合の従業員の扱いについて、気になる経営者は多いのではないでしょうか。また、M&Aの事実を従業員に伝えるタイミングを決めかねている方もいるでしょう。そこで今回は、M&Aにおける従業員の扱いやM&Aの事実を伝えるタイミングについて詳しくご紹介します。

■M&A後の従業員の待遇のパターン

M&A後は、従業員の待遇が変化することが多くなります。待遇の変化におけるパターンをご紹介します。

勤務地変更

M&Aでは、企業や事業を譲渡するとき、人材も一緒に譲渡されるケースがほとんどです。この場合、譲渡先企業の方針次第では、勤務地が変更になります。別事業への人事異動に伴う勤務地変更や、同事業の別支店・支社への転勤などが考えられます。

給料が変わる

M&Aの条件に「給与を〇年間変更しない」などを掲げない限り、M&A後は給料が変わるケースが多いでしょう。給料は、業務内容や内部留保、利益率など、さまざまな要素から算出されるため、別企業の従業員になれば、給料が変更になるのは仕方のないことと言えるでしょう。

また、残業に対する考え方や業務量も企業によって異なります。これまでは月5万円ほどの残業代が支給されていたのに、残業時間が減ったことで残業代も減り、生活が苦しくなるケースもあるでしょう。

反対に、給料が上がる可能性もあります。

福利厚生が変わる

住宅手当や社員寮、借り上げ社宅、健康相談、メンタルヘルスケア、介護休暇、男性社員向けの育児支援など、さまざまな福利厚生があります。法律で義務付けられている項目を除き、どの福利厚生を提供するかは企業が自由に決めることができます。

そのため、M&Aによって別企業の従業員になれば、これまで受けていた福利厚生を受けられなくなる可能性があります。反対に、これまでよりも福利厚生が充実する場合もあるでしょう。

 

■M&Aによって従業員が退職することになる原因

M&Aを機に従業員を解雇せざるを得なくなる可能性があります。解雇しない場合でも、従業員が自主退職するケースがあるため、事前に確認しておきましょう。

自主退職されると、M&Aにおける人材のレベルが低下して、譲渡額に影響を及ぼす恐れがあります。そこで、ここではM&Aを機に従業員が退職してしまう原因を詳しくご紹介します。

明るい未来が見えない

M&Aは、企業にとって明るい未来を作るための手段です。しかし、従業員にとっても明るい未来になるとは限りません。給与の減額や勤務地の変更などの負担がかかり、明るい未来が見えなくなる場合もあるでしょう。

M&Aの事実を知り、このまま会社に従っていても暗い未来が待っているだけだと思われてしまうと、退職される可能性があります。これは、M&Aによる従業員の待遇がどのように変化するのか説明できていなかったり、理解を求めるための面談を避けたりしたことが原因です。

買収先の社風に馴染めない

買収先の社風に馴染めず、退職してしまう従業員は少なくありません。社風は働きやすさに直結するため、社風に馴染めないと実力を発揮できず、評価が下がる恐れがあります。このような事態を苦しく感じ、自分に合う企業を求めて退職してしまうことがあります。

残念ながら、買収先の社風に馴染めるかどうかは、事前に把握できません。

リストラを懸念してしまう

M&Aは、会社都合で従業員の待遇を変更してしまう行為です。例えば、リストラは、企業の経営が苦しく、いくつかの条件を満たした場合に実行できます。

従業員が会社に逆らえず、決定に従うしかないことで、「いつかリストラされるのではないか」と不安に感じる可能性があります。

しかし、中には会社の勝手な都合でリストラされると思い込んでいる従業員がいるかもしれません。「むやみにリストラされるようなことはない」、「譲受先の企業は経営が苦しいわけではない」の2つを事前に伝えることが大切でしょう。

待遇が悪くなり生活に支障をきたす

従業員の待遇が悪くなり生活に支障をきたすと、退職を余儀なくされます。生活するために仕事をしているため、待遇が悪くなれば退職するのは当然のことと言えるかもしれません。待遇がどれだけ悪くなるのか、それによって従業員は生活に支障をきたす可能性があるのか、などを確認しておきましょう。

 

■M&A後の従業員の待遇について押さえておきたいポイント

M&Aによる従業員の待遇の変化について、次のポイントを押さえておきましょう。

M&Aの交渉次第で従業員の未来が決まる

M&Aの交渉では、従業員の給料や待遇、勤務地変更などの条件を提示します。交渉次第で従業員の未来が決まるといっても過言ではありません。会社・事業を譲渡するから自分には関係がないと思うのではなく、これまで会社を盛り立ててきた従業員への労いの意味を込めて、明るい未来になるように交渉することが大切です。

従業員の待遇改善を条件にすることを検討する

従業員の待遇が悪く、申し訳ない気持ちがある場合には、従業員の待遇改善を条件にM&Aを進めることも1つの方法です。従業員の待遇改善に対して意欲的であったり、メリットを感じていたりする経営者は少なくありません。あっさりと条件を聞き入れてくれる可能性もあります。

待遇の変化について理解を求めるのも1つの方法

M&Aで待遇が変わることは、仕方のないことです。そのため、従業員に理解を求める必要があるでしょう。ただし、大幅に待遇が悪くなる場合、理解してもらえない可能性が高いです。この場合は、無理に理解を求めるのではなく、従業員にとって明るい未来になるように努力することが大切です。

 

■M&Aの事実を従業員に伝えるタイミング

M&Aの事実を従業員に伝えるタイミングを間違えると、大量に退職者が出る恐れがあります。M&Aの事実を従業員に伝えるタイミングについて、詳しくみていきましょう。

重要人物はM&Aの実行前に伝える

経営者層や中間管理職の中でも重要な人物には、M&Aの実行前に伝えることが大切です。役員クラスには、基本合意からデューデリジェンスまでの間に伝えましょう。M&Aの検討段階から役員クラスに伝えたいと思う方もいますが、次の社長を決めるための相談に気持ちよく応じることができる人は少ないでしょう。

業務に対するモチベーションの低下にも繋がるため、M&Aの実行がほぼ決定した基本合意以降に伝えることが大切です。

また、中間管理職の中でも重要な人物に対しては、全体公表の2~3日前に伝えましょう。M&Aの事実が全体公表されると、真っ先に中間管理職が現場の従業員から質問攻めにあいます。このとき、詳細を伝えてもらうためにも、事前に話しておく必要があります。

一般社員にはM&Aの実行後に伝える

一般社員には、M&Aの最終契約の締結直後に伝えましょう。全体公表で一度に伝えることが大切です。少しずつ伝えても、秘密を守れずに噂が広がり、社内が混乱する恐れがあります。また、買い手が上場企業の場合は、M&Aの事実はインサイダー情報のため、株式市場が閉まる午後3時以降に伝えましょう。

 

■まとめ

M&Aの実行によって、従業員の給料や待遇、勤務地が変更になる場合は納得してもらえるような丁寧な説明が必要です。これまでと全く変わらない形で仕事ができるケースは基本的には少ないでしょう。会社のトップが変われば、どうしても働く環境や待遇が変わります。従業員にとって明るい未来を作ることを意識して、交渉を進めることが大切です。

加藤良大(ライター)
M&Aに関する実績は200本以上。M&Aの基本情報から仲介会社・アドバイザーの選び方まで、様々な記事を執筆。難しい言葉を使わず、現場の実情まで踏まえた正確かつわかりやすい記事が好評。
人事・労務や法律、不動産、医療など専門的な分野を幅広く執筆している。累計実績14,000本以上、ライター歴7年。
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