M&Aの失敗の原因とは? 失敗しないための対策と注意点
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■M&Aの失敗とは
そもそも、どのような場合にM&Aに失敗したと言えるのでしょうか。M&Aの失敗の種類について、詳しくみていきましょう。
予測よりも安く売却することになった
予測よりも安く売却することになれば、キャッシュフローに大きな支障をきたす恐れがあります。「実際の企業価値よりも安い売却価額になった」「企業価値を見誤っていた」のいずれかの原因で、売却益が予測よりも安くなります。
M&Aの目的を達成できなかった
M&Aの目的は「事業の売却益を主力事業に投入して再起を図る」「売却益を生活費に充ててアーリーリタイアする」「従業員の雇用改善」「販路の拡大」などさまざまです。条件交渉の問題によって、M&Aの目的を達成できなくなる可能性があります。
そうなれば、M&Aを実行した意味が失われるため、M&Aに失敗したと言えるでしょう。
売却のタイミングが遅れて企業価値が落ちた
企業価値から譲渡希望額を算定した際には、1億円だったのが、実際には8,000万円で成約になるケースは少なくありません。企業価値は常に変動するため、売却のタイミングが遅れると、予測される譲渡価額も変動するのです。
「交渉の難航」「経営者が通常業務に追われてM&Aの打ち合わせができない」などの原因があります。
従業員や取引先へ情報が漏れた
従業員や取引先にM&Aの情報が漏れた場合、従業員が次々に退職したり、取引先が不安に感じて契約解除を求めたりする恐れがあります。M&Aでは、従業員も企業価値の算定に含まれるため、退職者が増えることで譲渡価額も下がる恐れがあるのです。
それどころか、M&Aそのものを断られる可能性もあります。これは、取引先も同様で、株式譲渡の場合は取引先ごと買い手に引き継がれます。企業価値を下げないためにも、情報漏えいには十分に注意しましょう。
■M&Aに失敗する原因
M&Aに失敗する原因はさまざまです。複数の原因が重なると、それだけ大きな失敗に繋がります。M&Aに失敗する原因について、詳しくみていきましょう。
専門家に任せきり
M&A仲介会社やM&Aアドバイザーなどの専門家は、スケジュール策定や買い手の選定、交渉のサポート、契約書の作成など、さまざまな業務を行います。そのため、専門家に任せきりにしてしまうケースが少なくありません。
専門家が経営者に対して相談を持ちかけても、それを断るのが常になると、買い手の選定や交渉に問題が生じるでしょう。専門家は、M&Aの代行ではなくサポートをする役割のため、任せきりではM&Aは成功できません。
M&Aの目的が明確ではない
M&Aの目的が明確ではないと、譲渡希望価額や諸条件の提示に問題が生じます。例えば、他事業への資金投入、アーリーリタイアなどが目的の場合、一定額以上で売却が必要です。また、従業員の待遇改善が目的の場合は、それに準じた条件の設定が必要でしょう。
目的が明確になっていないと、適切に譲渡希望価額や条件を提示できません。M&Aの目的に合わせて譲渡希望価額や条件の設定をすることが大切です。
譲渡先の選び方を間違えた
譲渡先の選び方を間違えると、M&Aの目的を達成できません。M&Aでシナジー効果を得られない、従業員がなじめないなど、さまざまな問題が発生します。とりあえず売却するといった考えでは、譲渡先の選び方を間違えるでしょう。
専門家からのヒアリングを受け、M&Aの目的や諸条件を伝えて、適切に譲渡先を選ぶことが大切です。
専門家の選び方を間違えた
信頼性が低い、知識や経験に乏しいといった専門家を選ぶと、あらゆる部分で問題が起こります。「買い手を正しく選定できない」「交渉が下手で不利な条件で契約してしまう」「スケジュール策定に問題がある」など、さまざまなトラブルが想定されます。
横柄な態度で交渉をした
横柄な態度で交渉すると、心証が悪くなることで交渉が決裂する恐れがあります。どれだけ譲渡側が有利な立場でも、相手の経営者と心を通わせて、ビジネスパートナーとして接することが大切です。
どれだけ譲渡先にとって有利な条件を提示しても、譲受したくないと思われるとM&Aは成立しません。
役員の間で意向が統一されていない
M&Aは、代表取締役社長の一存では進められません。役員の間で意向が統一されていないと、契約の前段階で意見が割れ、計画が白紙になる恐れがあります。役員の間で意見が割れている場合は、まずは社内で話し合いを繰り返すことが大切です。
■M&Aの失敗を防ぐための対策
M&Aの失敗を防ぐには、失敗の原因を排除する必要があります。M&Aの失敗を防ぐために、次の対策を講じましょう。
信頼できる専門家を選ぶ
信頼できる専門家を選ぶべく、複数の専門家に相談してみることが大切です。経営者の言葉に耳を傾けるか、利益だけではなく、経営者の気持ちまで汲んだ対応ができるか、同業界で実績があるかなどを確認しましょう。
ただし、どれだけ信頼できても、任せきりにしてはいけません。定期的に報告を受け、相談しながらM&Aを進めましょう。
対等な立場であることを認識して交渉する
M&Aでは、売り手と買い手の立場は対等です。実際には、M&Aは売り手市場ですが、対等な立場であることを認識して交渉する必要があります。対等な立場を意識して交渉すれば、感情的になったり、横柄な態度をとったりすることを防げるでしょう。
余裕を持ったスケジュールを作成する
M&Aは、計画の開始から契約完了までに、最低半年はかかります。長い場合は、1年程度はかかるでしょう。余裕を持ったスケジュールを作成して、計画通りに進めることが大切です。余裕のないスケジュールだと、買い手の選定の鮮度が落ちる恐れがあります。
また、交渉の際に過度に妥協したり、相手に横柄な態度で条件の承諾を迫ったりする原因にもなります。
買い手企業の情報を十分に集める
買い手企業を選定する際には、情報を十分に集めて、信頼性や収益性、安定性などを確認する必要があります。また、コンプライアンス違反、反社会的勢力との繋がりなど、外側から見えづらい部分にも注目が必要です。
M&Aの目的を達成できる買い手かどうか、十分に確認しましょう。
情報漏えい対策を講じる
M&Aの情報が従業員や取引先に漏れないように、十分な対策が必要です。M&Aの情報を握るのは、経営者と取締役に絞りましょう。従業員や取引先に伝えるタイミングは、M&Aの契約が完了した段階です。
例えば、M&Aの専門家に会うところを見られるだけでも、疑われる可能性があります。やりとりは慎重に慎重を重ねて行いましょう。
■まとめ
M&Aが失敗する原因は、専門家や買い手の選定方法を間違えたり、情報が漏れたりすることです。質の高いサポートができる専門家を選べば、結果的に良い買い手を選定できます。M&Aのリスクを徹底的に排除しつつ、目的を達成することを意識して計画を進めましょう。
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