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ソーシングはM&Aにおいてなぜ重要?業務内容や具体的な進め方を解説

ソーシングはM&Aにおいてなぜ重要?業務内容や具体的な進め方を解説

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M&Aにはいくつかのプロセスがありますが、ソーシングは交渉相手を探し出し、実際に交渉するまでの部分を指します。ソーシングはM&Aを成功させるための重要なプロセスの一つです。今回はソーシングの業務内容や具体的な進め方について解説します。

ソーシングのM&Aにおける意味とは

ソーシングの概要

一般的にソーシングといえば「調達」に関連するキーワードで、商品の仕様や取引条件など購買に関する条件を規定することを指します。また、交渉によって理想的な調達条件を獲得することも含まれます。
ただ、M&Aではこのような意味合いが転じて利用され、M&Aに関わるターゲット企業選定から、その企業と交渉を進めることまでを指します。調達のように条件を確定させるために交渉があるため、その点では似たような意味で利用されます。
なお、「ターゲット企業の選定」「ターゲット企業との交渉」だけをソーシングと呼ぶのではありません。一連の流れをまとめてソーシングと呼ぶため、その点は誤解しないようにしましょう。

ソーシングが必要となる理由

M&Aでソーシングが必要となる理由は、効率よくM&Aを成功させるためです。事前にソーシングをしなければ、スムーズに交渉を進められないなどのトラブルになり、最悪の場合は交渉決裂し、多くの時間が無駄になってしまいます。
逆にソーシングをしておけば、M&Aに適した交渉先を見つけることが可能です。最初からM&Aが成立しやすい相手と交渉するため、時間が無駄になりにくく、交渉もスムーズに終わりやすくなります。

2種類のソーシング

ソーシングには「プル型」と「プッシュ型」があります。それぞれ意味が異なるため理解しておきましょう。
まず、プル型は、M&A仲介会社などに交渉先企業を提案してもらう方法で、自ら積極的に交渉するのではなく、受け身になるためにプル型と呼ばれています。専門家が保有するネットワークを活かし、交渉先を短時間かつ理想的な形で選定してくれるというメリットがあります。また、多くのM&A仲介会社に依頼することで、M&Aが成立する可能性も高まります。一方、専門家に作業を依頼するため、費用が発生する点では考慮が必要です。
逆に、プッシュ型は仲介会社などを利用せず、自力で交渉先企業を探し出します。仲介する会社がいないため、金銭面での負担を抑えられる点が魅力です。ただ、M&Aの専門家ではないため判断に困ったり、長時間の拘束を余儀なくされたりするかもしれません。

M&Aにおけるソーシングの手順

選定基準の決定

最初に交渉先を選定する基準を定めておきましょう。M&Aを考える会社は非常に多くあるため、基準がなければ具体的な選定作業に進めません。M&Aの成功を左右する部分でもあるため、時間をかけてでも丁寧に検討しましょう。
具体的に決めるべき基準は、M&Aの内容や目的に左右されます。例えば、以下の観点から基準を定めるといいでしょう。
 

  • 予算は潤沢にあるか
  • 雇用は安定しているか
  • 福利厚生は充実しているか
  • 経営方針・理念が合致するか

 

これらは一例ですが、経営者目線と従業員目線の両方から基準を定めるといいでしょう。また、複数の基準を設ける場合は、優先順位や重み付けも重要です。

ロングリストの作成

ソーシングでの選定基準が決定すれば、ロングリストを作成します。ロングリストは交渉先の候補を大まかに選んだものです。細かな部分まで評価していると時間を要するため、企業データベースなどから大まかな情報で判断します。
なお、ロングリストに書かれているすべての候補と交渉するわけではありません。これからさらに絞り込みを進めるため、はじめの一歩として作成するリストだと認識してください。

ショートリストの作成

ロングリストが完成すれば、より絞り込んだショートリストを作成します。ロングリストの中から選定条件に近いなど、M&Aの目的を達成できる可能性があり、交渉を検討する企業を選ぶようにしましょう。
最終的にはショートリストの中から交渉先の企業を決定します。ショートリストに含まれる企業があまりに多いと、最終的な選定に時間を要してしまうかもしれません。10社前後を目安にショートリストを作成し、最終的な交渉先の選定作業へと進めるのが望ましいでしょう。

交渉先の選定

ショートリストまで完成すれば、実際に交渉する先を選定する作業へと移ります。どの企業と交渉するか検討したり、複数の候補が残った場合はどのような優先順位で交渉したりするかを決めます。
交渉先の設定方法はソーシングの進め方によって異なり、例えば、以下が考えられます。

  • M&A仲介会社などプロに相談する
  • 経営幹部だけで決める
  • 社内に検討チームを作って決める
  •  
    どの方法が良いとは一概に言い切れません。M&Aの内容によって異なるため、臨機応変な判断が求められます。なお、M&Aには専門的な知識が求められるため、こだわりがなければM&A仲介会社など専門的な知識を持つ人に相談すべきです。素人だけで選定を進めると、誤った方向に進んでしまうリスクがあります。

    交渉

    ショートリストから、さらに選ばれた交渉先と実際に交渉します。M&A仲介会社が関与している場合は、仲介会社の担当者が交渉に向けて接触することが一般的です。
    また、最初の段階はM&Aが成立するか不明であるため、限られた情報だけを公開する「ノンネームシート」が利用されます。情報漏洩を防ぐために必要最低限の情報だけを開示し、相手側がM&Aに興味を持つか判断します。
    ノンネームシートの情報で相手側が興味を示せば、実際の社名など必要な情報を具体的に開示して交渉を続けます。一般的に買い手も売り手もお互いに要望があるため、お互いに歩み寄りながらM&Aが成立するか見極めていきます。

    M&Aのソーシングを成功させるポイント

    自社の情報を整理しておく

    できるだけソーシングの前に自社の情報を集めて整理しておきましょう。交渉の場では多くの情報を開示する必要があるため、ソーシングの事前準備として揃えておくべきです。
    準備しておきたい情報はさまざまありますが、例えば、以下を考えられます。

    • 会社の事業概要が分かる資料
    • 決算内容が分かる資料
    • 税金に関わる資料
    • 自社の製品やサービスを説明する資料
    • 取引先の詳細に関する資料

     

    これら以外にも資産に関する資料や事業内容によっては、許認可証なども必要です。皆さんが想像するよりも多くの資料が必要となる場合もあるため、事前に確認して計画的に準備を進めましょう。

    M&Aの方針や目的を明確にしておく

    M&Aの途中で考えがブレないようにするため、方針や目的を明確にすべきです。何かしらの理由がありM&Aを検討していると考えられるため、そこを明確にしておきましょう。また、M&Aの意思決定に影響する関係者間で共通認識を持っておきます。
    なお、M&Aには多くのメリット・デメリットがあり、どの方針や目的が正解であるかは決められません。関係者間で納得できる内容であればいいでしょう。

    専門業者を活用する

    ご説明したとおり、ソーシングでは多くの準備が必要となり専門知識も求められます。そのため、M&A仲介会社など専門業者を可能な限り利用すべきです。
    ソーシングに失敗するとM&A前の貴重な時間を失うことになりかねません。可能な限りM&Aを成功に近づけるため、専門業者の利用は必須だと考えておきましょう。

    ☆ヒント
    ソーシングは資料の準備から交渉先の選定まで、多くのプロセスで専門的な知識が求められます。自分たちでも対応できますが、間違えるリスクがあり時間もかかってしまいます。そのため、M&Aでソーシングに興味があるならば、まずは顧問税理士に相談すると安心です。

    まとめ

    M&Aにおけるソーシングについてご説明しました。ソーシングはM&Aの初期プロセスであり、交渉先の選定から交渉に入る部分までを指します。限られた時間を有効活用するために、ソーシングは非常に重要です。
    専門業者に頼らず自力でソーシングを済ませることは可能ですが、時間を要したり失敗したりする可能性があります。そのため、特別な理由がない限りはM&A仲介会社などを利用しましょう。コストはかかってしまいますが、専門業者はソーシングやM&Aを成功させるために必要不可欠です。

    松崎ぶっち(ライター)
    立命館大学卒。
    在学中に起業・独立などにあたり会計や各種監査などの法規制に対応するためのシステム導入ベンダーを設立。紆余曲折を経て多くのシステムを経験。
    システム導入をされるお客様の起業活動を通じて得た経験、知見を活かし皆さんの気になるポイントを解説します。
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