税理士の無料紹介相談窓口
0120-374-024
メールお問い合わせ 年中無休で24時間受付中

事業承継におけるM&Aとは?

事業承継におけるM&Aとは?

更新日:

これまでの事業承継は、経営者からその子や親族などに引き継ぐ「親族内承継」が一般的でした。しかし、近年は役員や従業員、さらには外部の第三者に引き継ぐ「親族外承継」が増加しています。

  なかでも注目されているのが、M&Aを活用した第三者への事業承継です。M&Aといえば大企業が行うものというイメージがありましたが、最近は中小企業間でM&Aによる事業承継が活発に行われています。

  ここでは、M&Aを活用した事業承継のメリット・デメリットやM&Aを成功させるコツについてご紹介します。

 

事業承継とは事業を他者に引き継ぐこと

事業承継とは、事業を他者に引き継ぐことです。厳密に言うと「会社の経営者が経営権を他者に引き継ぐこと」を意味します。後継者が経営者から引き継ぐものとして、以下のようなものがあります。

 

  • 経営権
  • 資産…自社株式、事業用資産、運転資金、事業に必要な許認可
  • 知的財産…取引先、顧客常用、技術やノウハウ、信用、経営理念、ブランド力など

 

かつて中小企業では、経営者は自分の子などの親族に事業承継を行うケースが一般的でした。しかし、近年は親族が後継者とならず、親族以外の役員や従業員、さらには外部の第三者に事業承継を行うケースが増加しています。

M&Aは事業承継の一手法

企業の合併・買収を意味するM&A。近年は、中小企業の事業承継の手段としてM&Aが活用されるケースが増加しています。ここでは、M&Aの手法や事業承継への活用について解説します。

M&Aとは複数企業がひとつになること

M&Aとは企業のMergers(合併)&Acquisition(吸収)を意味します。つまり、合併や吸収という方法で複数の企業がひとつになることです。M&Aにはさまざまな手法がありますが、よく用いられる方法として以下のようなものがあります。
 

・株式譲渡

M&Aにおける売り手会社の経営者が所有する株主を買い手会社に売り、経営権を買い手会社に移す方法です。売り手会社は買い手会社の子会社として存続します。中小企業のM&Aでよく用いられる手法です。

・事業譲渡

売り手会社の事業の一部、または全部を買い手会社に売る方法です。事業譲渡も中小企業のM&Aでよく用いられています。

・会社分割

会社分割は売り手会社が手がける事業の一部、またはすべてを買い手会社に移す方法です。買い手会社に事業を引き継いでもらう「吸収分割」と、買い手会社が新たに設立した会社に引き継いでもらう「新設分割」があります。

・合併

組織再編を行って複数の会社をひとつにする方法です。合併前の会社をすべて解散して新会社を設立する「新設合併」と、吸収合併は複数社のうち、1社だけ存続させる「吸収合併」があります。

M&Aを活用した事業承継

かつての事業承継は、経営者からその子や親族へと行われる「親族内承継」が一般的でした。しかし、2000年代頃から、親族以外の者に事業承継を行う「親族外承継」が多くなっています。

親族外承継には「役員や従業員への承継」と「社外の第三者」の2つのパターンがありますが、後者のパターンではM&Aの活用が増加しています。M&Aの手法の中でも、事業譲渡(全部譲渡)と株式譲渡がよく用いられています。日本商工会議所が2021年に実施したアンケートによると、M&Aを検討・実施した買い手会社の買収形態は、事業譲渡(全部譲渡)が58.7%、株式譲渡が45.9%を占めていました。

M&Aのメリット・デメリットと手順

M&Aによる事業承継には、どのようなメリット・デメリットがあるのか見てみましょう。また、M&Aのプロセスについても解説します。

M&Aのメリット・デメリット

【メリット】

・外部で後継者を探す際、人選の幅が広がる

M&Aを行う場合、専門の仲介会社に依頼することが一般的です。仲介会社はネットワークを利用して、複数の買い手候補を提示してくれます。経営者が自身の人脈などを使って後継者を探すよりも、人選の幅が広がります。

・売却益を得られる

たとえば、M&Aの手法の一つである株式譲渡を行い、経営者が所有する自社の株式を買い手に売却すればその対価を得られます。売却益はリタイア後の生活資金に充てることができます。

【デメリット】

・希望通りの条件で売却できない可能性

M&Aが成立するまでには、買い手側とさまざまな条件交渉を行います。従業員の雇用の確保や買収価額など、売り手側の希望が100%叶えられることはありません。場合によっては、決裂する可能性もあります。
 

・M&A後に従業員が離職するリスクがある

M&Aが成立後、売り手会社は買い手会社の傘下に入ります。売り手会社の従業員は、これまでと異なる労働条件や社風の中で働くことになり、中には馴染めずに離職してしまうこともあります。

M&Aのプロセスとは

M&Aを活用して事業承継を行うプロセスは、以下のようになります。

1.事業承継についての現状を認識する

会社や経営者自身の現状、後継者候補の状況など、事業承継を取り巻く状況を把握します。後継者候補が親族や社内で見つからない場合、M&Aを活用した第三者への承継を考えます。
 

2.M&A仲介会社を選ぶ

数多くあるM&A仲介会社から、自社の業種や事業規模に合ったところを選びましょう。M&A仲介会社には、それぞれ得意とする業種や事業規模があります。また、税金対策のサポートが充実しているところや、海外企業とのM&Aにも対応しているところなど、強みも異なります。
 

3.買い手候補を選定する

M&A仲介会社から複数の買い手候補が提示されるので、交渉相手を決定します。
 

4.交渉

売り手・買い手によるトップ会談ののち、条件交渉を行います。合意が得られれば、仮契約の意味合いをもつ「基本合意書」を締結します。
 

5.デューデリジェンス

「デューデリジェンス」とは、売り手企業の財務や法務などの状況を調査することです。デューデリジェンスは買い手企業が主体となり、弁護士や公認会計士などの専門家の手を借りて行われます。
 

6.本契約

デューデリジェンスをもとにM&Aの条件を詰め、最終契約書を作成・締結します。
 

7.クロージング

株式譲渡や事業譲渡にともなう手続きや、譲渡代金の支払いなどを行うことを「クロージング」といいます。クロージングが終われば、M&Aは成立です。

事業承継M&Aを成功させるコツ

M&Aの専門家への相談・依頼

M&Aの実施には、M&A仲介会社などの専門機関への依頼が必須です。売り手が独力で買い手を見つけることは困難だからです。また、M&Aの成立までには条件交渉や契約書の締結、デューデリジェンスの実施など、さまざまなプロセスがあります。各プロセスでは、専門家に入ってもらう必要があります。
 

M&Aについて相談できる専門機関として、M&A仲介会社や金融機関のほか、M&Aを手がける税理士や弁護士、各地の商工会議所などがあります。

公的補助金などを活用する

M&Aには多額の費用が必要になります。中小企業庁が行っている「事業承継・引継ぎ補助金」を活用すると、M&Aにかかるコストを下げることができます。M&A仲介会社などの専門家に支払った費用の一部や、事業承継後に残った事業を廃業するための費用の一部が補助されます。
 

ただし、専門家に支払った費用の一部が補助されるのは、中小M&A支援機関に係る登録制度に登録されている業者に依頼した場合に限られるので注意しましょう。

自社の企業価値を向上させる

売却価額を高くするには、自社の企業価値を向上させる必要があります。事業承継の準備段階で自社の現状を把握する際、自社の強みや課題を洗い出し、強みを高めたり問題点を改善したりすることで、企業価値の向上につなげられます。また、不要な資産の整理も進めましょう。
 

企業価値の向上に必要な時間を考えると、事業承継には5年から10年の時間が必要になります。
 

後継者探しのタイミングを決める

企業価値の向上のことを考えても、事業承継には準備と時間が必要であることがわかります。経営者が高齢になって引退を考え出してから、後継者探しを始めていては間に合いません。引退したいと思う年齢の10年前には、後継者探しを始める必要があります。

後継者探しの過程でM&Aという方法が視野に入ったら、売却に向けて準備を進めましょう。

まとめ

事業承継を考えているのに後継者が見つからない場合、M&Aを活用して第三者に会社の経営権を譲ることができます。事実、近年は中小企業においてM&Aを活用した事業承継が増加しています。
 

M&Aによる事業承継は、M&A仲介会社などの専門家にサポートを受けることになります。公的補助金などもうまく使いながら進めましょう。

長谷川よう(ライター)
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
M&A無料相談はこちら
ページのトップへ