税理士の無料紹介相談窓口
0120-374-024
メールお問い合わせ 年中無休で24時間受付中

M&Aでの「磨き上げ」とは?企業価値を高める具体的な方法や注意点を解説

M&Aでの「磨き上げ」とは?企業価値を高める具体的な方法や注意点を解説

更新日:

M&Aを迎えるにあたって、売却前に企業価値を高めるための「磨き上げ」は重要です。今よりも企業価値を高めておけば、M&Aが成功しやすくなることはもちろん、売却価値も高めることができます。今回は磨き上げの概要や具体的な方法、注意点を解説します。

M&Aにおける磨き上げ

企業の価値を高める意味とは

磨き上げのように企業の価値を高める行為は、M&Aを成功させるためにあります。磨き上げをしなくともM&Aが成功する可能性はありますが、できる限り可能性を高めるための行為だと認識しておきましょう。また、企業の価値を高めるとは「良い点を伸ばす」ではなく「悪い点をなくす」という行為です。どんなに魅力的な企業であっても、何かしら問題点を抱えているとM&Aが失敗する可能性があるため、これを防ぐ行為には大きな意味があります。

磨き上げの対象と目的

磨き上げの対象と目的は明確に定められておらず、状況によって変化します。例えば以下のような対象と目的が考えられます。
 

  • 株式:保有者を減らすことでM&Aを成立しやすくする
  • 経営:契約書類などをそろえることでガバナンスを証明する
  • 人財:従業員との契約やモチベーションアップ施策などを示す
  • 財務:適切な会計が行われ納税していることを示す

 

このように磨き上げの対象と目的は多岐に渡ります。ここに挙げたものは一例ですが、状況に応じて適切なものを磨き上げの対象としなければなりません。

M&Aに向けて会社を磨き上げる5つの方法

会社の基礎情報の整理

会社の基礎情報を整理して最新化するようにしましょう。定款に定められている情報は間違いないですが、従業員数や直近の売上などは集計する必要があるはずです。会社の基礎情報は必ず確認される部分であるため、時間をかけてでも整理すべきでしょう。また、主要な取引先との契約が適切に結ばれているか、法令遵守違反がないかなども棚卸ししておきましょう。実態としては問題がなくとも、整理して文章化しておくことで、買収側から提示を求められた際に示しやすくなります。他にも、不適切な会計処理や税務処理がないかチェックが必要です。また、残業代の未払いが存在しないかも念のために確認しておきましょう。なお、不適切な行為はコンプライアンスの観点から大きな問題となるため、何かしら問題点が発見されたならばすぐに解決することが重要です。

資産情報の最新化

会社が保有する資産のうち資産台帳に記載すべきものが漏れていないかを確認し、最新化しましょう。対象となる資産は少額固定資産ではなく、複合機など高価な事務用品や社用車などが該当します。会社で保有する資産は税金などにも影響してくるため、磨き上げのタイミングで最新化すべきです。また、磨き上げに際して意識してもらいたいことは「事業に関係のない資産をチェックしておく」ということです。小規模な会社では節税などを目的とした資産が含まれている場合があります。このような資産を最新化のタイミングで洗い出しておきましょう。

顧客リストの作成

現時点での顧客リストを作成しておきましょう。M&Aにあたって「どの企業と、どの程度の規模で取引しているか」は重要な情報であるため、リスト化して把握すべきです。顧客リストを作成する際にはここ数年間の売上金額も含めるようにしましょう。顧客リストと表現すると取引先の名称だけをイメージしがちですが、M&Aで買収側は売上規模も気にしています。数年間の売上金額を含めることで未来像を描きやすくなりM&Aの成功につながるでしょう。

自社の価値や強みの明文化

現時点で自社にどのような価値や価値があるかを明らかにしておきましょう。特に競合他社と比較したときにどのような魅力があるのかを把握すれば、買収側へ積極的にアピールできます。また、これらの情報は経営幹部の頭に留めておくのではなく、できる限り明文化して誰でも確認できるようにしてください。明文化は情報の整理にもつながるため、考えるだけではなくアウトプットまですべきです。

株式保有者の統一

M&Aで会社を売買することは、発行済株式を売買することを意味します。そのため、M&Aにあたっては株式の保有者を統一しておくことが理想的です。経営者が株式を100%保有しているとM&Aを進めやすいですが、株式の保有者が分散しているとM&Aに否定的な意見が出て障壁になるかもしれません。会社の磨き仕上げは「M&Aをスムーズに進める」との意味合いがあります。そのような観点で株式保有者の統一は磨き上げのひとつです。経営者以外が株式を保有している場合は、M&Aに向けて経営者が株式を買い上げるなどして、株式保有者の磨き上げを進めておきましょう。

企業の磨き上げで注意したい3つのポイント

書類の整理などに終始しない

企業の磨き上げでは書類の整理をしなければならず、日頃から書類を整えていなければこの部分に時間を要してしまいます。ただ、磨き上げの目的は書類の作成や整理ではなく、自社の強みや弱みを把握して情報を集約することです。もちろん、既存の情報を整理する作業も重要ですが、これだけでは磨き上げの意味が薄れてしまいます。書類の整理作業は強み・弱みを把握した後にやるべきことであるため、書類作成のみに終始しないように注意してください。

ガバナンスを見直す

磨き上げの過程でガバナンスを見直すように意識しましょう。現状を把握することは磨き上げの重要な作業ですが、問題がある状態を放置しては磨き上げの意味が薄れてしまいます。問題点を把握したらならば、磨き上げの過程で改善しガバナンス強化に努めましょう。ガバナンスの強化による従業員が働きやすい環境は、M&Aでのアピールポイントとなります。逆に問題点があるにもかかわらず放置していると、不信感を持たれる原因となりかねません。会社の規模が大きいと全容の把握には時間を要すため、ガバナンスの見直しが不十分とならないように注意してください。

専門家に相談する

磨き上げにはいくつもの観点があり、企業が置かれている状況によってやるべきことが変化してきます。ここでご説明した内容を中心に磨き上げを実行することは重要ですが、一般的な考えだけでは磨き上げに限界が出てしまうかもしれません。そのため、できる限りM&Aで磨き上げする際は専門家に相談するようにしましょう。経験豊富な専門家に相談することで、効率よく効果的な磨き上げを実現可能です。

☆ヒント
会社の売却を考えているならばM&Aの前に磨き上げをすべきです。ただし、磨き上げには多くの観点があり、何をすればよいか判断が難しいため、顧問税理士と契約して相談できる環境にしておくと安心です。

まとめ

M&Aの前に実施する、企業の磨き上げについてご説明しました。磨き上げすることで企業価値が高まり、それがM&Aの成功につながるでしょう。買収側は問題点がなく価値の高い企業に興味を示すため、磨き上げは重要な意味を持ちます。磨き上げにはいくつもの観点があり、企業の状況によってやるべきことは変化します。ここでご紹介した観点を中心に、専門家へも相談しながら磨き上げに取り組んでください。

松崎ぶっち(ライター)
立命館大学卒。
在学中に起業・独立などにあたり会計や各種監査などの法規制に対応するためのシステム導入ベンダーを設立。紆余曲折を経て多くのシステムを経験。
システム導入をされるお客様の起業活動を通じて得た経験、知見を活かし皆さんの気になるポイントを解説します。
M&A無料相談はこちら
ページのトップへ