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2025年問題が中小企業に及ぼす影響とは?事業承継対策はお早めに

2025年問題が中小企業に及ぼす影響とは?事業承継対策はお早めに

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2025年に団塊の世代が75歳以上になって超高齢化社会が到来すると、社会保障や雇用など社会のさまざまな事象に影響を及ぼす「2025年問題」が起きるといわれています。中小企業の事業承継においても、無関係ではありません。
  ここでは、2025年問題が事業承継に与える影響や、国の事業承継施策について解説します。

2025年問題と事業承継

超高齢化社会が到来する「2025年問題」

2025年問題とは、この年に本格的な「超高齢化社会」が到来することにより、雇用や社会保障など社会のさまざまな分野で起きる問題のことです。
 

超高齢化社会の背景にあるのは、2025年に団塊の世代が後期高齢者である75歳以上になることです。団塊の世代に当たる1947〜49年生まれの人がすべて75歳以上となる2025年、後期高齢者人口は日本の人口の約18%に達します。
 

一方、少子化の進行によって労働人口は減り続けており、増える後期高齢者を支えるのが難しくなります。

2025年問題で中小企業の廃業が増える

2025年問題は、事業承継にも影響を及ぼします。中小企業庁がまとめた「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、2025年までに70歳を超える中小企業の経営者は約245万人にのぼりますが、約半数に当たる127万人が「後継者は未定」と答えました。
 

後継者未定の企業のうち、半数は黒字廃業の可能性があります。このままでは廃業が急増し、「2025年までに約22兆円のGDPと約650万人の雇用が失われる可能性がある」と中小企業庁は見ています。

事業承継の手段としてのM&A

経営者が高齢化している中小企業において、後継者が決まっていない企業は少なくありません。
 

もっとも、経営者の親族から後継者を選ばなければならないわけではありません。親族以外から後継者を選ぶ選択肢もあります。ここでは、事業承継の方法としてのM&Aについて見てみましょう。

事業承継の3つの方法

事業承継の方法として、以下の3つの方法があります。
 

  • 親族内承継
  • 従業員承継
  • 第三者への承継

 

かつては、子やそれ以外の親族から後継者が選ばれることが多かったですが、近年は親族以外の役員や従業員、さらには社外の第三者が後継者となるケースが増えています。
 

中小企業庁がまとめた「事業承継に関する現状と課題について」によると、在任期間が短いほど、先代と親族関係にない経営者の割合が増える傾向にあります。2015年の資料ですが、在任期間が5年未満の経営者について先代との関係を尋ねたところ、以下のような結果になっています。
 

  • 親子…26.7%
  • 親子以外の親族…7.6%
  • 姻族以外の役員・従業員…26.4%
  • 第三者…39.3%

 

経営者としてキャリアが浅い人は、6割以上が先代の親族ではない人であることがわかります。さらに、会社の外部の人間が経営者となっているケースが約4割にのぼっています。
 

近年、第三者へ事業承継を行う方法として、M&A(合併と買収)が活用されるケースが増えています。後継者がいない企業を第三者に買収してもらうことで、企業を存続させます。

中小企業の事業承継の現状とM&A

今後も親族内や社内で後継者が見つからず、第三者に事業承継するケースは増えると考えられ、M&Aのニーズも顕在化すると考えられます。
 

しかし、実際にM&Aが成立する案件は限られています。2018年に成立したM&Aは3,850件となっており、これには事業承継を背景とするもの以外の案件も含まれています。この年、事業承継型M&Aとして公表された案件数は544件でした。後継者未定の会社数に対して、少なすぎる件数です。
 

M&Aがなかなか進まない背景として、経営者がM&Aに対してよいイメージを持っていないことがあります。「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、中小企業の経営者でM&Aに対してよいイメージを持っている人は39%にとどまっています。

国の支援策を活用して事業承継を進めよう

中小企業の事業承継においても、2025年問題の影響は避けられません。多くの経営者が後継者を見つけられないまま、廃業してしまう状況を食い止めるため、国はさまざまな支援策を講じています。さまざまな支援策のうち、代表的なものを見てみましょう。

【相談窓口】

●事業承継・引継ぎセンター
国が各都道府県に設置している、事業承継に関する公的相談機関です。親族・従業員・第三者のいずれへの事業承継についても、スムーズな事業承継を支援してくれます。
 

また、商工会議所と連携して「後継者人材バンク」を立ち上げており、起業を希望する人とのマッチングにも取り組んでいます。

【補助金】

●事業承継・引継ぎ補助金
事業承継、事業再編・事業統合にともなって新たな取り組みを行う中小企業に対し、取り組みに必要な費用や、経営資源の引継ぎに必要な費用などについて、最大2/3まで国が補助します。親族内・社内承継、M&Aにおける売り手・買い手のいずれの場合も補助金の対象となっています。
 

補助金の交付に関して、要件を満たして申請受付期間内に申請書を提出し、審査を通過する必要があります。要件や申請受付期間などは公式サイトで発表されます。

【税制上の優遇】

●経営資源集約化税制
M&Aによって企業を買収した中小企業が受けられる税制上の優遇制度です。あらかじめ経営力向上計画を策定し、国の認定を受ける必要があります。経営力強化計画に基づいてM&Aを実行すると「設備投資減税」「準備金の積立」といった税制措置を活用できます。
 

なお、それぞれの優遇措置を受けるには、M&Aの前後で手続きが必要になります。
 

●事業承継税制(法人版・個人版)
事業承継によって引き継いだ資産に対し、要件を満たすと贈与税や相続税の納税が猶予される制度です。法人の事業承継の場合は株式、個人事業主の事業承継の場合は事業用資産が対象となります。
 

なお、この制度を活用するには法人・個人とも「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく認定を受ける必要があります。認定に関する窓口は都道府県です。
 

●登録免許税・不動産取得税の特例
経営力向上計画を策定し、国の認定を受けた中小企業が、経営力強化計画に基づいてM&Aを実行した場合、M&Aによって得た土地や建物に対する登録免許税や不動産取得税が軽減される特例です。

【法律上の特例】

●遺留分に関する民法の特例
相続や生前贈与において、経営者が子どもなどの後継者に経営のために事業用資産や株式を集中させたいと思っても、相続人が複数いると遺留分がハードルとなることがあります。
 

そこで、民法では後継者を含む推定相続人全員の合意があれば、事業用資産や株式など事業に必要な財産については遺留分から除外できる特例を設けています。
 

●所在不明株主に関する会社法の特例
所在が分からなくなっている株主について、会社法ではその株式を売却・競売の手続きを取るには5年間連絡が取れないなどの条件をつけています。しかし、事業承継では5年という長さがネックになってしまいます。
 

そこで、非上場の中小企業で事業承継の必要性が高いと都道府県知事に認められると、5年が1年に短縮されます。

まとめ

後期高齢者が人口の約18%を占める2025年問題は、事業承継にも大きな影響を与えます。中小企業はすでに経営者の高齢化と後継者不足に直面していますが、2025年にはその傾向に拍車がかかると考えられます。
 

漠然と事業承継を考えている方は、後継者の有無に応じて公的支援を活用しながら、具体的な行動を始めましょう。

長谷川よう(ライター)
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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