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ディスクロージャー(情報開示)はいつ行う?対象別のポイントを解説

ディスクロージャー(情報開示)はいつ行う?対象別のポイントを解説

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M&Aを実行したと情報開示することを「ディスクロージャー」といいます。M&A成立後の組織統合や事業の引き継ぎをスムーズに進めるには、ディスクロージャーをいつ誰に行うかを知っておくことが重要です。
  ここでは、ディスクロージャーのタイミングについて、対象別のポイントを解説します。

M&Aにおけるディスクロージャーとは

一般的にディスクロージャーとは、企業が株主などのステークスホルダーに対して行う経営的な情報開示のことです。しかし、M&Aにおけるディスクロージャーは、売り手・買い手双方の従業員や取引先、メインバンクなどに対し、M&Aの実行を公表することを意味します。
 

M&Aは以下のような手順を踏まえて行いますが、ディスクロージャーはクロージング後に買い手・売り手が一緒になって行われることが一般的です。ただし、M&Aの交渉に携わる一部の幹部社員や条件交渉の内容に関わる取引先などには、M&Aの交渉過程で開示することもあります。

【M&Aの流れ(売り手側の場合)】

 

  • 1.M&A仲介会社へ相談・契約
  • 2.買い手候補の選定
  • 3.交渉する買い手候補との秘密保持契約締結
  • 4.トップ会談
  • 5.基本合意締結
  • 6.デューデリジェンス(買い手が行う売り手側の財務・法務的な調査)
  • 7.最終交渉
  • 8.最終契約
  • 9.クロージング(権利関係の移譲、関係機関への届け出、株式の引き渡し、対価の支払い)
  • 10.PMI(組織統合作業)

ディスクロージャーの対象者と注意点

ここでは、M&Aを行った際のディスクロージャーの対象者について、具体的に見てみましょう。また、企業がディスクロージャーを行う際に注意すべきインサイダー取引についても、解説します。

ディスクロージャーの対象者

M&Aにおけるディスクロージャーの対象者として、以下のような者が挙げられます。
 

  • 従業員(一般社員・幹部)
  • 取引先(仕入先・得意先)
  • メインバンク
  • メディア
  • 証券取引所(上場企業の場合)

 

それぞれに対するディスクロージャーの内容やタイミング、伝える方法について、十分吟味する必要があります。なぜなら、ディスクロージャーがスムーズに行われるかどうかが、M&A後に行われるPMI(買い手側・売り手側の組織統合)や、買い手側の経営の成否にもかかわってくるからです。
 

従業員や取引先、メインバンクに対するディスクロージャーのポイントについては、後で詳しく解説します。

インサイダー取引に注意

M&Aにおけるディスクロージャーで、注意しなければならない問題として「インサイダー取引」があります。インサイダー取引とは、投資判断を左右するような企業情報を知った社内の者が、情報公開前に株式を売買することです。このような行為は投資家の利益を損ない、株式市場の信用を低下させてしまう恐れがあるため、金融商品取引法で禁止されています。
 

たとえばM&Aの事実が公表される前に、売り手側の経営者が買い手側企業の株式を購入すると、インサイダー取引に該当します。インサイダー取引とみなされると、5年以下の懲役または500万円の罰金が科されます。
 

経営者以外にも、売り手側でM&Aの交渉に関与している財務部門の社員や、売り手側の取引先がインサイダー取引を行うリスクがあります。インサイダー取引の防止の観点からも、ディスクロージャーに関する統制管理をしっかり行いましょう。
 

なお、インサイダー取引規制の対象となるのは、上場会社やその子会社の株式の売買です(非上場の子会社も対象)。また、インサイダー取引の判断材料とされる事項(重要事実)には、上述したM&Aのほか、業務提携や業績予想に関する情報などがあります。

対象者別ディスクロージャーのポイント

ここでは、中小企業のM&Aでも重要なディスクロージャーの対象である従業員・メインバンク・取引先の3者について、それぞれのポイントを見てみましょう。なお、売り手側の立場で解説します。

従業員への対応はPMIの成否にかかわる

売り手側にとって、従業員へのディスクロージャーはもっとも配慮が必要です。自社が買収されると知った従業員の多くは不安になります。M&A実行後、PMIの過程で従業員が離職してしまうと、買い手側にとってはM&Aで得られるはずのメリットが十分得られない可能性があります。
 

売り手側と買い手側が協力し、M&Aの経緯や従業員の今後の処遇などについて、丁寧に説明しましょう。経営者以外からM&Aの情報が社員の耳に入るといった事態は避けなければなりません。
 

従業員へのディスクロージャーは、幹部社員とその他の一般社員に分けて、段階的に行うことをおすすめします。たとえば、幹部社員にはM&Aの実行後すぐに伝え、翌日に一般社員に知らせます。幹部社員に一足先に伝えておくことで、一般社員へのディスクロージャーを行った際、幹部社員が一般社員に対して経営者の思いを代弁してくれるなどのフォローが期待できます。
 

一般社員へのディスクロージャーを行う際は会合を開きます。会合には買い手側も出席し、売り手側と分担してM&Aの経緯や今後の動きについて説明します。売り手側の社員がいちばん不安に感じていることは、自身の今後についてです。質疑応答の時間を設け、売り手・買い手の経営陣は社員の疑問や不安を払しょくする努力をしましょう。売り手企業の今後や従業員の処遇については、買い手側から説明すると社員も納得感が得られます。

取引先への開示はCOC条項に留意

売り手の取引先に対しては、売り手側・買い手側が揃って書面で通知するか、訪問してディスクロージャーを行います。
 

取引先へのディスクロージャーで注意しなければならないのは、売り手側と取引先がCOC条項(チェンジオブコントロール事項)を盛り込んだ契約を結んでいるパターンです。COC条項とは、商取引に関する契約を取り交わした企業間において、一方の企業に経営権の異動などがあった場合、他方は契約を解除できるといったものです。
 

COC条項には、経営権の異動について、相手にその旨を通知する義務が盛り込まれていることがあります。M&Aの売り手が取引先と結んだ契約に、経営権の異動を通知する義務を含んだCOC条項を盛り込んでいる場合、M&Aを実行する前に知らせなければなりません。

メインバンクへの開示は速やかに

メインバンクへのディスクロージャーは、クロージング後できるだけ速やかに行います。売り手側の経営者の個人保証を解除する必要があるからです。
 

売り手の経営者はメインバンクから融資を受ける際、多くの場合で個人保証を提供しています。株式譲渡によるM&Aの場合、売り手側の個人保証は買い手側に引き継がれますが、そのためには個人保証解除の手続きが必要です。

まとめ

M&Aの実行を各方面に開示する「ディスクロージャー」は、一般的にはクロージング後に行います。中小企業のM&Aでは、従業員・取引先・メインバンクがディスクロージャーのおもな対象となります。
 

売り手の従業員に対するディスクロージャーは、従業員の不安を和らげるよう配慮し、今後の処遇などについて丁寧に説明しましょう。取引先に対しては、COC条項との兼ね合いで、M&Aの実行前に経営権の異動を告知しなければならない場合があるので注意が必要です。メインバンクに対しては、個人保証解除の手続きが必要になるため、クロージング後のできるだけ早いタイミングでディスクロージャーを行いましょう。
 

いずれの場合も、M&A仲介会社のアドバイスを受けて各方面へのディスクロージャーを進めることになります。M&Aの相談から相手の選定、交渉、ディスクロージャーまで、トータルでM&Aをサポートしてくれる仲介会社を選びましょう。

長谷川よう(ライター)
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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