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バイアウトとは?方法や目的、M&Aとの違いについて解説

バイアウトとは?方法や目的、M&Aとの違いについて解説

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自社の将来について考えを巡らせている経営者の中には、M&Aに関心がある方も多いのではないでしょうか。M&Aと似た企業買収の方法に「バイアウト」があります。バイアウトは社内の人間による会社の買収を意味します。
  ここでは、バイアウトのさまざまな手法や目的について解説します。

株式の過半数を買い取るバイアウト

「バイアウト(Buy Out)」とは「買収」という意味で、企業の株式を買い取ることで経営権を握る方法です。
 

ここでは、バイアウトの意味や目的について、解説します。

バイアウトの意味と4つのパターン

「買収」を意味するバイアウトですが、おもに社内の人間が企業の株式の過半数を株主から買い取り、経営権を握ることを指します。
 

バイアウトは買収を行う者によって4つのタイプに分類されます。それぞれの詳細については後述します。

  • マネジメント・バイアウト(MBO)…経営陣によるバイアウト
  • エンプロイー・バイアウト(EBO)…従業員によるバイアウト
  • マネジメント・エンプロイー・バイアウト(MEBO)…経営陣・従業員によるバイアウト
  • レバレッジド・バイアウト(LBO)…社外の第三者によるバイアウト
バイアウトを行う目的とは

LBO以外のバイアウトは、社内の人間が自社の株式を買収することです。社内の人間が買い手の場合、バイアウトは以下のような目的で行われることが多いです。
 

  • 経営再建
  • 経営陣や従業員への事業承継
  • 創業者による起業資金の回収

 

バイアウトの事例としてよく知られているのが、外食業を手がける「すかいらーくグループ」の経営陣によるバイアウトです。2006年、すかいらーくグループの経営陣はバイアウトを行い、上場廃止しました。
 

当時、すかいらーくグループは業績悪化に苦しんでおり、上場廃止後に経営改革を断行。その後、経営を立て直して2014年に再び上場を実現しています。

M&Aとバイアウトの違い

「企業の買収」といえば、M&Aをイメージする人が多いのではないでしょうか。バイアウトとM&Aの違いを簡単に言うと、買い手の違いです。バイアウトにおける買い手がおもに買収対象企業の社内の人間であるのに対し、M&Aにおける買い手は第三者です。
 

M&Aにおける買い手が第三者であるということは、その目的もバイアウトとは異なります。買い手の事業拡大や利益拡大がM&Aの目的です。

経営陣が買い手となるMBO

ここでは、経営陣が自社の株式を買い取るMBO(マネジメント・バイアウト)について詳しく見ていきましょう。

MBOの方法と目的とは

MBOは企業の経営者・経営陣が自社の株主から株式を買い取り、経営権を握る方法です。経営権を握るには、発行済株式の過半数を獲得する必要があります。
 

株主の意思決定を行う株主総会において、一部の重要な事項を除くさまざまな経営事項は普通決議で決められます。普通決議を行うには、出席者の株主の議決権総数が発行済株式総数の過半数でなければなりません。また、決議が通るためには、出席株主の議決権の過半数となる賛成数が必要です。
 

つまり、経営者または経営陣が単独で発行済株式総数の過半数を所有すれば、株式総会の普通決議を単独で行えるため、企業の経営権を握ることを意味します。
 

株式を買い取るには多額の資金が必要になります。そのため、SPC(特別目的会社)とよばれる会社を作り、金融機関や投資家から資金を調達します。SPCは対象企業の株式を買い取ったうえでその企業を子会社化し、のちに合併します。経営陣は合併企業の株主となって経営権を握ります。

MBOのメリット・デメリット

MBOのメリットは、株主の意見などに左右されずに経営再建に取り組めるようになることです。また、第三者からの買収リスクを減らすこともできます。
 

一方、株式を非公開にすることで資金調達が難しくなるというデメリットもあります。経営陣に株式が集中するため、経営管理という観点ではチェック機能が甘くなることも注意が必要です。

従業員が買い手になるEBO

バイアウトは従業員(エンプロイー)が買い手となることもあります。ここではEBO(エンプロイー・バイアウト)について解説します。

EBOの方法と目的とは

EBOは従業員が勤め先の株式を買い取り、経営権を握ることです。近年、中小企業は後継者不足が問題となっており、EBOの手法を使って優秀な従業員に事業承継させるケースが増えています。
 

MBOの説明でも述べたように、株式の買い取りには多額の資金が必要となります。後継者となる従業員に、経営権を得るために必要な株式を買い取る資金がない場合も珍しくありません。EBOにおいても後継者となる従業員がSPCを設立します。その後の動きはMBOと同様です。

EBOのメリット・デメリット

EBOのメリットは、従業員に事業承継ができる点です。親族内に後継者がいない中小企業の経営者にとって、会社の事情をよくわかっている従業員への事業承継は、第三者に事業承継を行うM&Aよりも安心感があります。
 

ただし、株式を買い取るための資金がEBOの大きなハードルとなります。後継者となる従業員がSPCを設立しても、金融機関の融資を受けるための審査に通過するのは容易ではありません。

経営陣・従業員が買い手になるMEBO

経営陣と従業員が一緒になって、自社の株式を買い取るMEBO(マネジメント・エンプロイー・バイアウト)という手法もあります。

MEBOの方法と目的とは

MEBOはMBOとEBOを合わせたような手法です。経営陣と従業員が協力し、自社の株式を買い取って経営権を握ります。MEBOは、子会社が親会社からの独立を目指す場合に用いられることが多いです。
 

MEBOにおいても、経営陣によってSPCが設立されます。SPCは経営陣・従業員から資金を集め、足りなければ金融機関などからも資金調達を行います。資金調達後の流れは、MBOやEBOと同様です。

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BOのメリット・デメリット

MEBOは子会社が親会社から独立するための手法として用いられ、株主の影響を受けない経営を実現できることが大きなメリットです。また、MBOと違い、従業員も株主になることから、会社全体のモチベーションアップにもつながります。
 

ただし、従業員に株式の購入を了承してもらう必要があります。MEBO実現には、多くの従業員の同意を得なければならない点がデメリットです。

第三者が買い手になるLBO

MBO、EBO、MEBOは買収対象企業の内部の人間によるバイアウトですが、LBO(レバレッジ・バイアウト)は外部によるバイアウトです。

LBOの方法と目的とは

第三者が企業を買収する際、買収対象企業を担保に金融機関などから資金調達を行う手法をLBOといいます。買い手側に買収対象企業の株式を取得するために十分な資金がない場合、LBOが用いられます。
 

LBOの目的は、買い手が買収した企業の価値を上げて大きな利益を得ることです。「レバレッジ」とは「てこ」のことで、少ない資金で買収を実現させ、大きなリターンを得ることが「てこの原理」のようであることからLBOとよばれています。
 

LBOでもSPCを活用した資金調達が行われ、買収後はSPCと買収した企業を合併させます。さらに、資金調達のために借りたお金の返済は、買い手企業ではなく、SPC+買収した企業の合併企業が負います。
 

MBO、EBO、MEBOにおいてもSPCを設立して金融機関などから資金調達を行うケースが一般的であるため、広い意味では3つの方法もLBOと考えることができます。

LBOのメリット・デメリット

LBOのメリットは、買い手が少ない自己資金で買収できる点です。ただし、買収後に企業価値を上げることができなければ、買い手は“レバレッジ”にふさわしい大きな利益を得られないというリスクがあります。

まとめ

バイアウトはおもに経営陣や従業員が自社の株式を買い取ることで、株式の買い手が経営権を握るための手法です。バイアウトには4つの方法があり、それぞれの目的やメリット・デメリットが異なります。
 

自社の将来について考えを巡らせている経営者にとって、バイアウトはひとつのヒントになります。特に、後継者不足に悩む中小企業にとって、EBOは社内の優秀な従業員に事業承継を行える有効な手段です。
 

なお、バイアウトには専門的な知識が必要となります。M&A仲介会社や金融機関のアドバイスを受けながら進めましょう。
 

長谷川よう(ライター)
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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