税理士事務所・会計事務所のM&A 費用・相場や動向、注意点を徹底解説

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ここでは、M&Aにかかる費用や売買価格の相場などについて解説します。

- この記事の監修者
- フェイス税理士事務所
代表税理士 高田 祐一郎
会計事務所と税理士事務所(税理士法人)の違いと現状
税理士事務所や会計事務所のM&Aを見ていく前に、まずは会計事務所と税理士事務所、税理士法人の違いや現状を見ていきましょう。
会計事務所とは
会計事務所は、公認会計士や税理士などが中心となって、企業や個人事業主の会計・税務関連の業務を幅広くサポートする事務所です。具体的には、経理や財務諸表の作成、税務申告、決算対策、経営コンサルティングなどを手がける場合が多く、クライアントが抱える「数字」にまつわる課題をトータルで支援します。
特に中小企業や個人事業主にとっては、日常の経理処理から決算・申告まで一貫してサポートしてくれる心強いパートナーとなります。なお、会計事務所と一口にいっても、業務内容は事務所によって異なり、保険代理業や相続対策、開業支援など幅広いサービスを提供するケースもあります。コンサルティング機能を強化している事務所も多く、経営全般のアドバイザーとして活躍する場面が増えているのも特徴です。
会計事務所と税理士事務所の違い
会計事務所と税理士事務所の違いは、経営者(代表者)と業務内容に違いがあります。
税理士事務所は、税理士が個人事業として営んでいる事務所のことです。業務内容は、基本的に税務に限定しています。
一方、会計事務所は税理士または公認会計士が個人事業として営んでいる事務所のことです。会計事務所といっても、税理士事務所と同じように税理士が代表者として経営していることも多いです。
つまり、税理士は税理士事務所もしくは会計事務所として個人事業を営み、公認会計士は会計事務所として個人事業を営みます。会計事務所の業務内容は、税務にとどまらずコンサルティングなどを行うことが多いです。
会計事務所と税理士法人の違い
会計事務所と税理士法人の違いは、組織形態にあります。会計事務所は個人事業であるのに対し、税理士法人は法人です。そのため、事業規模は税理士法人のほうが大きい傾向にあります。また業務内容も、税理士法人は税務に限定していることが多いです。
会計事務所と税理士事務所、税理士法人の違いをまとめると、以下のとおりです。
税理士事務所 | 会計事務所 | 税理士法人 | |
---|---|---|---|
経営者(代表者) | 個人 | 個人 | 法人 |
業務内容 | 税務 | 税務 コンサル業務 会計監査 |
税務 |
組織形態 | 個人事業 | 個人事業 | 法人 |
税理士事務所・会計事務所業界の現状
税理士事務所・会計事務所は全国に多く存在するものの、近年は後継者不足と高齢化が深刻化し、業界全体が転換期を迎えつつあります。実際、日本税理士連合会が2014年に行った「第6回税理士実態調査」によれば、60歳代の税理士が全体の30.1%ともっとも多く、60歳以上の層だけで半数を超える53.8%にのぼる一方、20~30歳代は合わせても10%強という偏りが明らかになりました。
また、国税庁の公表データ(国税庁公式サイト)によると、2023年(令和5年)度時点の税理士登録者数は81,280人ですが、税理士試験の受験者数は長期的に減少傾向にあるとされ、ベテラン層の引退が今後一気に進めば人材不足がさらに深刻化する可能性があります。
とくに所長1名に依存しがちな小規模事務所では、後継者不在によって廃業リスクが高まるケースが目立ちます。こうした背景から、M&A(合併・買収)を活用して事務所を譲渡し、既存の人材やノウハウを維持しつつ事業を継続していく動きが活発化しているのです。業界再編の波が今後さらに加速することも予想され、事務所同士の統合や大手税理士法人への集約が、税理士業界の大きな流れを形成しつつあります。
個人経営の税理士事務所・会計事務所における後継者問題とM&A
個人経営の会計事務所のM&Aは、主に後継者問題を解決する方法として用いられます。
税理士事務所・会計事務所の後継者問題
個人経営の税理士事務所や会計事務所では、所長1名の高齢化と後継者不在が相まって、廃業の危機が深刻化しています。たとえば、代表税理士と少数のスタッフだけで事務所を切り盛りしている場合、後を継ぐ資格者が確保できなければ、顧問先や従業員の行き先がないまま事業を閉じざるを得ない状況に追い込まれかねません。
さらに、中小企業を取り巻く経済環境の変化や、会計事務所の採用環境の悪化により、業務拡大が難しくなっている事務所も少なくありません。こうした背景から、最近ではM&A(合併・買収)を活用して後継者問題を解決しようとする動きが目立つようになりました。個人経営の会計事務所が自力で後継者を育成・招聘するのが難しい場合、所長が元気なうちにM&Aを通じて事務所の資産と人材をまるごと譲渡する選択肢を検討するのは、ごく自然な流れといえるでしょう。

- 記事監修者からの
ワンポイントアドバイス - 引退が近づく所長にとって、事務所運営を支えてくれた顧問先様や従業員はとても大切な存在です。安心できる税理士事務所への承継を望まれています。
- フェイス税理士事務所代表税理士 高田 祐一郎
M&Aで得られるメリット【買い手(譲受側)の場合】
買い手(譲受側)にとって最大のメリットは、既存の顧問先や熟練スタッフをまとめて引き継げる点です。従来の方法であれば、新規営業や採用に多くのコストと時間をかけねばなりません。しかし、M&Aによって安定した収益基盤とノウハウを一括承継できれば、短期間で組織を拡大できる可能性があります。
また、専門分野の拡大や地域進出の手段としてもM&Aは有効です。たとえば、相続税案件や医療系の会計支援など、特定分野に強みを持つ事務所を譲り受ければ、新たな顧客層を獲得しやすくなります。同業同士であるからこそ、経営ノウハウや顧客データの相乗効果も大いに期待でき、結果的に競争力を高めることにつながるでしょう。
M&Aで得られるメリット【売り手(譲渡側)の場合】
一方、売り手(譲渡側)にとっての最大のメリットは、後継者不在問題を一挙に解決できることです。高齢化や人手不足が進むなかで、所長の引退時期に後継者が見つからない場合、事務所の資産—とりわけ顧問先との信頼関係や経験豊富なスタッフ—が失われる危険があります。しかし、M&Aによって経営基盤の整った別の事務所や税理士法人とマッチングできれば、従業員の雇用を守り、顧問先との関係を維持したまま引退を迎えられます。
さらに、長年築いてきた事務所の価値を対価として評価してもらえるため、所長や家族の将来資金を確保できる点も見逃せません。もし「廃業」という選択肢しかなければ、積み重ねてきたノウハウや顧問先との信頼も一切収益化できずに終わってしまいます。したがって、M&Aは経営者の“最後の大仕事”として大きなメリットをもたらしてくれる手法だといえるでしょう。
税理士事務所・会計事務所のM&Aにかかる費用はどれくらいか
会計事務所のM&Aにおいて必要となる費用は、買い手が売り手に支払う買収費用だけではありません。買収費用に加え、買い手・売り手ともに仲介会社への手数料が必要となるほか、場合によっては双方に税金がかかるケースもあります。
M&Aで売り手・買い手にかかる費用
・仲介会社に支払う手数料【売り手側・買い手側】
会計事務所のM&Aを当事者たち(売却希望側と譲受希望側)が自力で相手を探し、交渉することは現実的に難しい話です。売り手側・買い手側ともにM&Aを専門に手がける仲介会社と契約し、相手を探してもらって交渉する方が一般的です。
仲介会社に支払う費用は「仲介手数料」とよばれ、相談から交渉成立までのいくつかの局面で手数料が発生します。仲介会社によって発生する局面は異なりますが、例として以下のような種類の手数料があります。
着手金…仲介会社と契約を結んだ時点で発生する手数料です。着手金は無料のところもあれば、100万円以上必要となる場合もあります。着手金がかかる仲介会社のもとには、M&Aを本気で考えている顧客が集まるというメリットがありますが、M&Aが成立しなくても返金されないので要注意です。
成功報酬…M&Aが成立した時点で支払う手数料です。会計事務所のM&Aにおける成功報酬は、多くの場合10%(最低報酬あり)となります。

- 記事監修者からの
ワンポイントアドバイス - 上記以外にも、相談料や中間金(M&Aのプロセスの途中で発生する)、デューデリジェンス費用(買収前に行われる監査)、月額手数料(M&Aが成立するまで毎月支払うものなど)が発生することもあります。
- フェイス税理士事務所代表税理士 高田 祐一郎
・買収費用【買い手側】
当然のことですが、買い手側には買収費用がかかります。会計事務所の買収価格算出方法については、下で詳しく説明します。
・税金【売り手側・買い手側】
M&Aで会計事務所を売買した場合、税金がかかる場合があります。たとえば、事業譲渡の手法を用いた場合、売り手側・買い手側それぞれに以下のような税金がかかります。
売り手側…譲渡益に対する税金(売り手が個人なら所得税、法人なら法人税)
買い手側…消費税(譲り受けた資産の中に課税対象のものが含まれる場合)、登録免許税・不動産取得税(不動産を譲り受けた場合)
次は、会計事務所の売買価格の相場について見ていきましょう。
税理士業務がメインなら年間顧問報酬や年商の総額が相場
個人経営の会計事務所で税理士業務をメインに行っている場合、1年間の顧問報酬や前年の年商が売買価格の相場となることが多いです。「相続税の申告を多く手がけている」「別法人として設立している会計法人からの記帳代行料がある」「保険代理業の収入がある」などのケースでは、年商を基準にします。

- 記事監修者からの
ワンポイントアドバイス - 実際には交渉やデューデリジェンスを経て最終的な売買価格を決定します。事前に相場を把握しておくことで、適正額の判断ができ、双方納得のいく交渉になることでしょう。
- フェイス税理士事務所代表税理士 高田 祐一郎
コンサルティングなども行っている場合は企業価値を算出する
税理士業務に加えてコンサルティングなどの業務も行っている場合は顧問報酬や前年の年商ではなく「企業価値」をもとに売買価格を決定することがあります。
企業価値とは、企業が持つ総合的な価値を表す金額です。その企業が手がける事業から生み出される純資産価値や営業権、知的財産価値に加え、預金や遊休地なども企業価値に含まれます。企業価値を出すには、時価純資産法やDCF法といった算出方法を使います。
●時価純資産法…企業が保有する有形・無形の資産を時価評価した時価資産から、時価負債を差し引いた「時価純資産」を企業価値とします。
●DCF法…「ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー」の略。フリーキャッシュフロー(会社が自由に使える現金)をもとに企業が将来生み出す価値を出し、そこからコストを割り引いて算出した現在価値を企業価値とします。
税理士事務所・会計事務所をできるだけ高く売却するには
会計事務所を売却する側としては、できるだけ高く売却したいところです。売却価格を上げるには、売上高をアップさせて企業価値を高める必要があります。
事務所の売却を成功させるには、1,000万円〜1億円程度の売上高が必要とされています。売却を考え始めたら、まずは売上高の目標額を設定し、目標額に到達した頃に高い価格で売却できるよう計画することが大切です。事業承継計画を作成し、数年間のスパンで事務所の売却を考えましょう。
税理士事務所・会計事務所の売却相場
M&Aにあたって意識してもらいたいことが、売却相場です。これを理解していないと、買い叩かれたり、交渉に失敗して手を引かれるなどの問題につながりかねません。また、買い手としても、必要以上にお金を出す必要がなくなります。
相場は時期や事務所の所在地などに左右されますが、概ね以下のどちらからです。
- 1年分の顧問報酬
- 2年~3年分の営業利益
もし、1年間の顧問報酬が4,000万円あれば、M&Aも4,000万円程度で成立しやすくなります。また、1年間の営業利益が1,000万円ならば2,000万円から3,000万円程度で成立するという計算です。
会計事務所・税理士事務所のM&Aの流れ
M&Aによる事務所の承継では、以下のような手法が一般的に用いられます。それぞれの手法には特徴があり、事務所の規模や代表者の意向、引き継ぎたい業務範囲などによって選択肢が異なります。
1. 事業譲渡
「事業譲渡」とは、事業全体または一部を丸ごと引き渡す方法です。個人事業の場合、株式のやり取りができないため、「従業員や顧問先との契約・設備」などを事業単位で譲渡することが主流となります。譲渡する範囲を絞れる一方で、個別に契約の移管作業が必要になる点や、顧問先に対する承諾手続きなどが多くなる点には注意が必要です。
2. 合併
「合併」は、複数の法人格を統合して1つの法人にする手法です。税理士法人や会計法人など、法人組織の事務所同士であればこの手法が用いられます。
吸収合併の場合は片方の法人が存続し、もう一方は消滅する形で統合されます。
新設合併であれば新しい法人を新設し、両法人を一本化します。
いずれも事業規模が拡大してブランド力や組織体制を強化しやすくなる反面、統合後の文化やスタッフ間の調整には時間がかかる場合があります。
3. 持分譲渡
「持分譲渡」は、税理士法人などが持つ持分を譲渡し、所有権を移転する手法です。株式譲渡に近いイメージですが、税理士法人は「社員(出資者)=税理士の有資格者」であることが前提となるため、その範囲で譲渡が行われます。合併や事業譲渡と比べて権利移転の手続きがシンプルなケースが多いものの、買い手・売り手の税理士資格や社員間の合意が必要になる点に留意が必要です。
会計事務所・税理士事務所のM&A成功事例
事例1:急病による緊急譲渡から支店化へのスムーズな移行
愛媛県で年商6,200万円規模のJ会計事務所(従業員4名)では、64歳の所長の突然の病気をきっかけに、同県内の税理士法人への譲渡を実現しました。
【背景】
所長夫妻で運営していた事務所でしたが、所長の急病により事業継続が困難な状況に直面。奥様は業務継続の意向が強く、早急な対応が必要でした。
【承継プロセス】
愛媛県内の年商1.5億円規模のM税理士法人(従業員21名)の支店として受け入れる形で、譲渡額5,000万円での事業譲渡が実現。44歳の所長が率いるM税理士法人の支店として、自宅兼事務所の形態を維持したまま、従来の業務スタイルを継続することができました。
【成功ポイント】
急な事態にも関わらず、地域密着型の事務所として培ってきた顧客基盤を活かしつつ、支店化による安定的な経営体制を構築できた点が、関係者全員にとってのメリットとなりました。
事例2:全国展開を目指す事務所による地方拠点の戦略的統合
岡山県の年商4,400万円規模のS税理士事務所(従業員8名)が、大阪府の大手会計事務所グループの一員となった事例です。
【背景】
72歳の所長が後継者不在に悩む一方、譲受側のG会計事務所(年商4億円、従業員40名)は過去3拠点のM&A実績を持ち、さらなる展開地域の拡大を目指していました。
【承継プロセス】
双方の意向が合致し、譲渡額3,820万円での譲渡が成立。68歳の所長が率いるG会計事務所の豊富なM&A実績が、円滑な統合の決め手となりました。
【成功ポイント】
譲受側の複数拠点展開の実績と統合ノウハウが、地方事務所の円滑な承継を可能にした好例といえます。
事例3:丁寧なコミュニケーションが実現した大型案件
三重県の年商7,000万円規模のM税理士事務所(従業員12名)が、愛知県の大手税理士法人への譲渡を実現した事例です。
【背景】
65歳の所長は後継者不在に悩んでいましたが、奥様の同意を得ることが大きな課題でした。一方、譲受側の税理士法人H(年商15億円、従業員120名)は、営業エリア拡大を目指していました。
【承継プロセス】
当初は進展が難しい状況でしたが、奥様と譲受側の59歳の所長との直接対話を通じて信頼関係を構築。譲渡額8,000万円での合意に至りました。
【成功ポイント】
経営理念への共感と魅力的な報酬条件の提示に加え、特に家族の理解を得るための丁寧なコミュニケーションが成功の鍵となりました。
事例4:一部譲渡による事業規模の最適化
神奈川県の年商5,000万円規模のU会計事務所が、事業の一部を東京都の税理士法人に譲渡した柔軟な対応事例です。
【背景】
53歳の所長は、重要スタッフの退職をきっかけに事業規模の見直しを検討。一方で、自身は継続して事務所経営を行いたいという意向を持っていました。
【承継プロセス】
年商7億円規模の税理士法人D(従業員74名)に対し、退職スタッフが担当していた顧問先のみを譲渡額8,000万円で譲渡。U会計事務所は3名体制で事業を継続しています。
【成功ポイント】
事業全体の譲渡ではなく、一部譲渡という柔軟な手法を選択したことで、双方にとって最適な解決策を見出すことができました。
M&A成功のための注意点・ポイント
ここからは、M&A成功のための注意点やポイントを見ていきましょう。
信頼できるアドバイザーを選ぶ
M&Aは、相手先との交渉や手続きなど難しいことも多く専門知識がないと成功しません。そこで、M&AのアドバイザーにM&Aに関わる業務を依頼するのが一般的です。
ここで注意したいのが、信頼できるアドバイザーを選ぶということです。会計事務所や税理士事務所のM&Aは、一般の会社とは事業の内容や形態が異なります。そのため、会計事務所や税理士事務所の業務に精通しているアドバイザーにM&A業務を依頼しないと、うまくいかない場合があります。
M&Aを成功させるためにも、会計事務所や税理士事務所の業務に精通している、もしくは会計事務所や税理士事務所のM&Aの経験が豊富な信頼できるアドバイザーを選ぶことが重要です。
早い時期からM&Aの準備を進める
M&Aはアドバイザーに相談してからクロージングするまで、多くの時間がかかります。すぐに相手先が見つかれば良いですが、相手先が見つかるまでに数年かかることもあります。税理士事務所や会計事務所の経営者が、引退したいからといって直ぐにM&Aができるとは限らずに、引退が先延ばしになることもあります。
後継者がいない・引退する年齢を決めているなど、今後M&Aを希望している場合は、早い時期からM&Aの準備を進めましょう。
M&Aにより顧客との契約が解消されるリスクを考慮する
会計事務所や税理士事務所のM&Aで注意しないといけないことのひとつが、顧問先との契約が解消されるリスクです。顧問先が譲渡先の会計事務所や税理士事務所との顧問契約を嫌がって、契約を解約する可能性があります。
代表税理士がM&Aで事業を譲渡したあと、譲渡先にしばらく籍を置いて、顧問先にM&Aについて丁寧に説明することで契約解消のリスクを減らせます。会計事務所・税理士事務所のM&Aでは、こうした事業・経営の統合プロセス(PMI)を設けることが一般的です。
事業承継・引継ぎ補助金を活用して経費の削減を
「事業承継・引継ぎ補助金」は、M&Aや事業承継を進める中小企業や個人事業主に対し、費用の一部を補助する中小企業庁の制度です。この補助金を活用することで、M&Aにかかる費用を削減できます。補助金には以下の3タイプがあります。
①経営革新事業
M&Aや事業承継をきっかけに、事業の再構築や経営統合などに挑戦する際の費用を補助。
補助率2/3、補助上限額600万円
②専門家活用事業
M&Aにかかる専門家などの活用費用(M&A仲介会社への手数料、デューデリジェンス費用など)を補助。
補助率2/3、補助上限額600万円以内
③廃業・再チャレンジ事業
再チャレンジを目的に既存事業を廃業するための費用を補助。
補助率:2/3、補助上限額150万円
M&Aで会計事務所を売却する場合②を活用することができます(②は買い手側・売り手側のどちらも活用可能)。
なお、事業承継・引継ぎ補助金を受けるには申請が必要です。また、上記の内容は令和3年度補正予算の要件です。令和4年度以降は変更となる可能性があります。最新情報、および申請受付期間や申請方法などは「事業承継・引継ぎ補助金」の公式サイトで確認してください。
記事監修者 高田税理士からのワンポイントアドバイス
高齢を迎えた所長の最後の仕事として、長年お世話になってきた顧問先様、家族に近い従業員を、安心して任せられる事務所へ承継し、引退したいと考えるものです。しかし、思いに共感してくれる承継先、しっかりとした組織を持つ税理士法人を見つけることはなかなか困難です。
そこで、M&Aを活用すれば、事業拡大を目指す税理士事務所とマッチングする機会を増やすことができるため、承継の手法として使われる機会が増えてきています。

- この記事の監修者
- フェイス税理士事務所
代表税理士 高田 祐一
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