M&Aの補助金(助成金)の種類は? 利用方法から申し込みの手順まで
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■事業承継補助金とは
事業承継補助金とは、事業承継をきっかけに新ビジネスを始める後継者を対象とした補助金制度で、I型とII型があります。事業承継を機に事業の存続に力を入れる後継者を応援する目的で策定されました。
それでは、事業承継補助金の種類や補助率、公募期間、対象者、対象経費などについて詳しくみていきましょう。
事業承継補助金の種類
事業承継補助金のI型は、経営者が交代する場合を機に開始する新たな取り組みにかかる経費の一部を補助します。補助金額は小規模事業者が上限200万円で、事業所の廃止や事業の集約、廃業などが必要な場合は300万円までの上乗せが発生します。
また、小規模事業者以外の補助金額は150万円、上乗せ225万円です。
II型は、M&Aに伴い新たに始める取り組みにかかる経費の一部を補助します。審査結果上位であれば、補助金額は上限600万円、上乗せ600万円、上位以外は上限450万円、上乗せ450万円です。
補助率
補助率とは、かかったコストに対する補助金額の割合のことです。I型は、小規模事業者が2/3、小規模事業者以外が1/2、II型は審査結果上位が2/3、審査結果上位以外が1/2です。
例えば、I型の小規模事業者の場合、120万円のコストがかかったケースでは、2/3にあたる80万円が上限となります。
公募期間
公募期間は、毎年異なります。平成29年は年1回でしたが、平成30年からはI型が3次募集まで、II型は2次募集まで行われています。そのため、あらゆるタイミングでのM&Aにも対応できることが特徴です。
対象者
事業承継補助金は、下記の要件と事業承継の要件の両方を満たした中小企業と個人事業主、特定非営利活動法人が対象です。
- ・日本国内で事業を行っている
- ・地域経済に貢献している
- ・反社会的勢力ではない、かつ反社会的勢力から出資などを受けていない
- ・法令違反などをしていない
- ・経済産業省からの補助金指定停止措置を受けていない
- ・補助金を受給したことが匿名性を確保しつつも公表される場合があることに同意できる
- ・調査やアンケートなどへの協力が可能
事業承継の要件は次の3つです。
- ・事業承継を対象期間内に行う
- ・事業承継の形態がI型とII型それぞれで定めるものになっている
- ・後継者に経営の経験、あるいは同じ業種の実務経験、あるいは承継における研修の経験がある
対象経費
事業承継補助金における対象経費には、新たな取り組みにかかる費用だけではなく、廃業に必要な費用も含まれます。廃業時には、解散登記や清算人登記など、さまざまな手続きが必要です。手続きの際には、司法書士などのサポートを受けるケースがありますが、その際にかかる依頼費用も対象経費となります。
■経営資源引継ぎ補助金制度とは
経営資源引継ぎ補助制度とは、新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けた会社が経営資源を引継ぐ際にかかる費用を補助する制度です。それでは、対象者や要件などについて詳しくみていきましょう。
対象者
対象者は、M&Aによって事業を譲渡する、譲受する中小企業と個人事業主です。ただし、医療法人や社会福祉法人、財団法人、一般社団法人、公益社団法人、財団法人、学校法人、組合、農事組合法人は対象ではありません。
要件
要件は、「対象期間内に譲渡側と譲受側の間で事業再編や事業統合などに着手することが予定されている」です。対象期間外でのM&Aは補助の対象外のため注意しましょう。
対象期間
対象期間は、交付が決まってから最長で2021年1月15日までです。この期間までにM&Aの準備が終わっていないと、補助金を受け取れません。
対象経費
対象経費は、専門家に支払う謝礼、旅費、外注費、委託費、オンラインマッチングサイトなどのシステム利用料ですが、下記の条件を満たした場合に限ります。
- ・補助対象事業の遂行に明らかに必要と判断できる
- ・象期間内の契約および発注によってかかった費用
- ・実績報告で証拠書類を提出できる(金額と支払いの事実を確認できる)
■事業承継補助金の申請方法
事業承継補助金の利用には、さまざまな書類をまとめて申請する必要があります。申請方法について事前準備から交付決定までの流れを詳しくみていきましょう。
事前準備
中小企業が申請する際には、次の書類が必要です。
- ・履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- ・直近の事業年度の決算書
- ・事業承継後に申請する場合は、役員が変更された内容を含む官報公告か選任決議の議事録
また、そのほか次の書類も必要です。
- ・補足説明のための資料
- ・住民票
- ・認定経営革新等支援機関が発行する確認書
- ・申請条件を満たしていることを示す後継者に関する資料
- ・M&Aに関わる資料
交付申請
郵送と電子申請を選択できます。M&Aによる登記簿変更前に申請が可能です。どちらも審査の基準に影響がないため、都合がよい方法を選びましょう。
交付決定
交付が決定すると、申請マイページに通知されます。この段階では、まだ補助金は受け取れません。
補助事業の実施と完了の報告
実際に、新しい取り組みを実施し、完了したことの報告が必要です。新しい取り組みを実施する気がないのに補助金を受け取ることは禁止されています。取り組みの実施と完了を報告後、交付手続きを行いましょう。
その後、下記の書類を提出します。
- ・補助金交付申請書
- ・申請した事業の経費明細
- ・事業計画書
- ・交付申請書類のチェックシート
上記のうち、事業計画書の内容は十分に精査しましょう。事業計画は厳しくチェックされるため、問題が見受けられた場合は補助金が交付されません。専門家のアドバイスも得ながら、質の高い事業計画書を作成することが大切です。
その後2~3ヶ月後に補助金が交付されます。ただし、5年間は状況報告が義務付けられています。新たな取り組みの実施がその場限りのものではないことを証明する必要があるためです。
■経営資源引継ぎ補助金制度の申請方法
続いて、経営資源引継ぎ補助金制度の申請方法についても詳しくみていきましょう。
電子申請
電子申請では、申請サイトから入手した書類に必要事項を記入し、申請フォームから申請します。様式はWordやExcel、PDFなどです。そのため、作成に必要なソフトのインストールが必要です。
郵送申請
申請サイトから入手した書類を印刷し、必要事項を記入して下記へ郵送します。
【経営資源引継ぎ補助金事務局】
〒100-8365
東京都千代田区丸の内3-2-3 丸の内二重橋ビルディングDTFA内
受付時間︰平日10:00~12:00、13:00~17:00
■まとめ
M&Aの補助金を利用することで、円滑なM&Aを実現できます。ただし、全ての中小企業が補助金を受け取れるわけではありません。要件を満たしたうえで、補助率と上限額の範囲内で補助金を受け取れます。新型コロナウイルスの影響やその他の原因で経営難に陥り、M&Aを検討している方は補助金を積極的に利用しましょう。
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