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中小企業がM&Aを考える際には知っておきたい国の3つの施策

中小企業がM&Aを考える際には知っておきたい国の3つの施策

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中小企業において、赤字が続いている、後継者がいないなどさまざまな理由で倒産する企業が増えています。対策の一環として国は、中小企業のM&Aを推進しています。また、中小企業のM&Aを推進するだけでなく、3つの施策も行っています。 中小企業がM&Aを考える際に知っておきたい国の3つの施策について解説します。

■国は中小企業のM&Aの後押しを考えている

中小企業のM&Aについての国の3つの施策のひとつ目が「中小M&A推進計画」です。名前のとおり、M&Aの推進を図る計画で、中小企業のM&Aの後押しをするためのものです。

2021年は、経営者の高齢化が進んでいるだけではなく、新型コロナウイルス感染症の影響などによる経営資源の減少など、中小企業にとって大きな問題が起こりつつある、もしくは起こっている状況です。

そこで中小企業庁は、2021年4月28日に「第6回中小企業の経営資源集約化等に関する検討会」を開催し、今後5年間に政府や民間企業が行わなければならない取組を「中小M&A推進計画」として取りまとめています。「中小M&A推進計画」では、主に以下のことをポイントとして挙げています。

・中小M&Aの意義と潜在的な対象事業者数
中小M&Aは年間3~4千件は実施されていますが、実はM&Aをしたいと考えている中小企業はもっと多く、中小企業庁ではその数を約60万社(成長志向型 8.4万社、事業承継型 30.6万社、経営資源引継ぎ型 18.7万社)と考えています。そこで、中小M&A推進計画では「経営資源の散逸の回避」「生産性向上等の実現」「リスクやコストを抑えた創業」の3つの観点から、中小M&Aを推進することを目的にしています。

・中小M&Aの円滑化
中小M&A推進計画では、中小M&Aの円滑化をするために、さまざまな施策を行うとしています。

例えば、新たな補助類型の創設等により経営資源引継ぎ型創業を推進したり、企業価値評価ツールを提供したり、補助金・中小企業向けファンドによる支援を拡充したりするなどの施策を行う予定です。

・M&A支援機関に係る登録制度の創設など
そのほかにも、M&A支援機関の質を確保するために、M&A支援機関に係る登録制度の創設を行ったり、中小M&Aの制度的課題に対応したりすることを目指すなどの施策を行います。

 

■適切なM&Aのための行動指針「中小M&Aガイドライン」の策定

国が行う、中小企業のM&Aを推進する施策のひとつに、「中小M&Aガイドライン」の策定があります。

ここでは「中小M&Aガイドライン」について見ていきましょう。

中小M&Aガイドラインとは

事業承継に関し、中小企業の中でM&Aという方法があることは少しずつ浸透しつつあります。そのため、以前に比べると中小企業のM&Aは増加しつつありますが、それとともに、M&A業者の数も増加傾向にあります。

M&A業者が多いため、業者がそれぞれ定めている支援内容や手数料などを見比べても、どこが適切であるのかを中小企業が判断できず、そのことが、中小企業がM&Aをを躊躇する原因の1つとなっています。そこで、中小企業庁は「中小M&Aガイドライン」を策定し、中小企業についてはM&Aの基本的な事項や手数料の目安を示しています。

また、M&A業者に対しては、適切なM&Aのための行動指針を提示しています。具体的には「中小M&Aガイドライン」では、中小M&Aの基本姿勢や中小M&Aの進め方、M&Aプラットフォーム等の紹介、各支援機関の役割の整理などを行っています。

中小M&Aガイドラインは、中小企業がM&Aをする際の基本となる事項を整理しているため、M&Aを考えている中小企業は、必ず目を通すようにしましょう。

中小M&Aガイドラインにおける一般的なM&Aの進め方

中小M&Aガイドラインでは、一般的なM&Aの進め方についても記載されています。中小M&Aガイドラインが示す、一般的なM&Aの進め方は次の通りです。

①相談
まずは、身近な支援機関へM&Aについて相談します。支援機関と相談しながら、M&Aの希望条件や将来のビジョンなどを見える化していきます。

②意思決定
支援機関と相談しながら、どのようなM&A業者に依頼するのかなどの意思決定をしていきます。

③企業価値評価
専門家と面談を行ったり、専門家による現地調査を行ったりするなどして、企業の価値を評価します。

④マッチング
リスト化された候補者の中から、希望する条件に合致する対象企業を見つけます。

⑤交渉
支援機関としっかりとしたコミュニケーションをとり、アドバイスを受けながら交渉を行います。あらかじめここだけは譲れない点(価格や従業員の雇用など)を決めておくことも重要です。

⑥基本事項の締結
交渉が進んだら、基本事項の締結を行います。

⑦DD(デューデリジェンス)
DDとは、財務や法務などの調査のことです。譲受側の意向を踏まえ調査を実施します。

⑧最終契約の締結
DDを行い、問題がなければ、最終契約の締結をします。

⑨クロージング
譲渡対価の支払いや資産の所有権移転登記などの手続きを行い、クロージングになります。

ここで挙げたのは、あくまで、中小M&Aガイドラインが示す、一般的なM&Aの進め方です。個々の状況によって、M&Aの進め方は違ってくることがあります。

 

■事業承継・引継ぎ補助金とは

中小企業がM&Aを考える際に知っておきたい国の施策の3つめが「事業承継・引継ぎ補助金」です。事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継や引継ぎによる費用の一部を国が補助するというものです。

例えば、仲介手数料やデューデリジェンス費用などの売り手側や買い手側双方の専門家の活用に係る費用や、設備投資・販路拡大の費用などに対して、国から補助金を受け取れます。

事業承継・引継ぎ補助金には、事業承継や引継ぎによる新たな取組をする場合や廃業に係る費用の一部を補助することを目的とした経営者交代型やM&A型と、事業引継ぎにかかった専門家の費用を補助する専門家活用型があります。

このうち、専門家活用型においては、中小M&A推進計画で創設されたM&A支援機関の登録制度を利用することになります。そのため、事業承継・引継ぎ補助金と中小M&A推進計画には、密接な関係があるといえるでしょう。

経営者交代型とM&A型の違いは、誰に事業を承継したのかの違いです。経営者交代型の後継者は主に親族です。親族内承継などで経営資源を引き継いだ場合に利用できます。一方、M&A型の後継者は第三者です。M&Aで経営資源を引き継いだ場合に利用できます。

事業承継・引継ぎ補助金のイメージとしては、先代経営者から後継者に事業承継する際には、専門家活用型を利用し、事業を引き継いだ後継者が経営者交代型やM&A型を利用します。
経営者交代型、M&A型、専門家活用型それぞれの補助率などは次のようになります。

・事業承継・引継ぎ補助金
支援型 補助率 上限額 上乗せ額※
経営者交代型 1/2 250万円 200万円
M&A型 1/2 500万円 200万円
専門家活用型 1/2 250万円 200万円(売り手のみ)

※上乗せ額とは、廃業を伴う場合に、補助上限額にプラスして受け取れる金額のことです。

中小企業がM&Aをする際には、事業承継・引継ぎ補助金を積極的に利用するようにしましょう。

 

■まとめ

中小企業の倒産を防ぐためなどの理由で、国は、中小企業のM&Aを推進しています。国は、ただ推進するだけでなく、多くの施策を講じています。その中で中心的な役割を果たすのが「中小M&A推進計画」「中小M&Aガイドライン」「事業承継・引継ぎ補助金」の3つです。

「中小M&A推進計画」とは、今後5年間に政府や民間企業が行わないといけない取組などをまとめたものです。「中小M&Aガイドライン」では、M&Aの基本的な事項や手数料の目安や適切なM&Aのための行動指針を示しています。「事業承継・引継ぎ補助金」は、事業承継や引継ぎによる費用の一部を国が補助するというものです。

これら3つの施策は、中小企業のM&Aにとってとても重要なものです。M&Aを考えている中小企業は、この3つの施策を把握しておくようにしましょう。

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