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M&Aと事業承継の違いは? それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説

M&Aと事業承継の違いは?  それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説

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会社や事業を引き継ぐ際には、「M&A」と「事業承継」の違いを把握しておくことが大切です。それぞれにメリットとデメリットがあるため、会社や事業の状況に合わせて選びましょう。ここでは、M&Aと事業承継の違いやそれぞれの特徴、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

会社や事業を引き継ぐ際には、「M&A」と「事業承継」の違いを把握しておくことが大切です。それぞれにメリットとデメリットがあるため、会社や事業の状況に合わせて選びましょう。ここでは、M&Aと事業承継の違いやそれぞれの特徴、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

 

■M&Aと事業承継の違い

まずは、M&Aと事業承継にどのような違いがあるのか、それぞれの特徴をご紹介します。

M&Aは企業の売買や合併する行為

M&Aは、Mergers&Acquisitionの略称で、和訳すると「合併と買収」となります。企業の経営権の譲渡、事業の一部の譲渡など様々な手法があります。M&Aの手法は、次のとおりです。

①株式譲渡

会社の株式を譲渡することで、経営権を移行する手法です。他の手法よりも手続きが簡易であるため、短期間で完了できます。また、まとまった売却益を得られることもメリットです。

②事業譲渡

事業、資産の一部または全てを譲渡する手法です。不採算事業を譲渡し、売却益を主力の事業に投入するなど、戦略的に活用できます。

③会社分割

会社の事業の一部または全てを新しく設立した会社に移転させる手法です。また、他社に自社の事業を移転する吸収分割も含まれます。会社分割という行為そのものには、費用がかかりません。

事業承継は後継者に会社を引き継ぐ行為

それでは、事業承継とはどのような行為を指すのか詳しくみていきましょう。

事業承継は、事業を引き継ぐ行為です。自分の親族に引き継ぐ親族内承継と、他社や親族以外の個人に引き継ぐ親族外承継があります。なお、親族外承継は他の企業に事業を引き継ぐため、M&Aの一種と言えます。

 

■経営者がM&Aを選択する背景

経営者が親族内承継を選ばず、親族外承継を含むM&Aを選択する背景について、詳しくみていきましょう。

 

■後継者問題による倒産を免れるため

M&Aは、後継者問題の解決策の1つです。親族内承継を希望しても、後継者に相応しい人物が親族にいない場合は、M&Aを選ばざるを得ません。また、健康上の理由、子供に会社を渡したくないといったケースもあります。どれだけ会社が栄えていても、後継者がいなければ、いずれ倒産するでしょう。倒産すると、これまで会社を一緒に築き上げてきた従業員を解雇することになります。

 

また、思い入れのある会社を後世に残せないことも、経営者にとって心残りとなるでしょう。

 

M&Aであれば、第三者に会社を譲渡することで、後継者問題を解決できます。会社経営のノウハウを熟知しており、M&A後のビジョンが明確な人物に売却できれば、会社のさらなる発展も期待できます。

他の事業に資金投入したい

他の事業に資金投入したい場合にもM&Aが役立ちます。収益性や安定性、将来性に優れている事業への資金投入を考えていても、複数の事業を展開していることで、十分な資金を投入できなくなります。この場合、不採算事業を譲渡すれば、売却益を他の事業に資金投入することが可能です。会社を支える事業を拡大できるため、企業全体の収益性や安定性の向上に繋がります。

 

不採算事業は、十分な収益を挙げている他の事業に支障をきたすため、早めの行動が大切です。

アーリーリタイアしたい

アーリーリタイアとは、十分な老後資金を得たうえで、比較的早い段階で引退し、隠居生活に入ることです。M&Aで得た売却益を元手に新たに起業する場合もありますが、アーリーリタイア後はほとんど働くことなく悠々自適な隠居生活を送ります。

 

経営者として働くことに疲れたり、一切働きたくなくなったりした場合に検討しましょう。

 

■M&Aを選ぶことにはデメリットもある

M&Aにはデメリットもあるため、後悔しないためにも詳しく確認しておきましょう。

長い時間と高額なコストがかかる

M&Aの成立には、長い時間と高額なコストがかかります。M&Aを実行するためには、自社に相応しい譲渡先を探し、様々な条件交渉をしなければなりません。すぐに譲渡先候補が見つからなかったり、交渉に時間がかかったりすることも踏まえると、半年~1年程度かかると考えておきましょう。

 

また、自分でM&Aを実行する場合、さらに時間がかかることが予想されます。

 

一般的に、仲介会社やアドバイザーに譲渡先の選出や条件交渉のサポートなどを依頼しますが、その際にも費用がかかります。費用には、着手金や成功報酬、中間金などがあります。成功報酬や中間金は、譲渡金額で決まるため、譲渡益が大きく減るわけではありません。しかし、譲渡益が高くなるほどに成功報酬や中間金も高くなるため、大きなデメリットに感じる方もいるでしょう。

従業員や顧客から理解を得るのに苦労する

従業員や顧客、取引先からの理解を得ることは、一筋縄ではいきません。M&Aによって経営者が変わると、これまで一緒に会社を築き上げてきた従業員や顧客、取引先から反発を買う可能性があります。給与や販路、商品・サービスの質だけではなく、経営者の人柄も従業員や取引先、顧客との信頼関係に関わっています。

 

1人が退職すると、芋づる式に次々と退職したり、取引先に契約を断られたりすることも予想されるでしょう。このような事態を招かないためにも、経営者自身が関係各所や従業員と話し合う必要があります。

経営の権限が小さくなる可能性が高い

M&Aで大手企業の傘下に入るような場合、経営方針や人事まで指示に従うことになる可能性が高く、自分の考えを経営に反映させにくくなります。社風や従業員の質、人員配置などが悪い方向へ傾くと、元経営者としては精神的に辛くなる可能性があるでしょう。

 

また、数年は経営者に近い権限を与えられ、M&A後に会社の状態が安定したら退職する場合もあります。

 

■M&Aと事業承継のどちらを選ぶか決めるポイント

M&Aと事業承継のどちらを選ぶかは、慎重に決めなければなりません。間違った選択は、収益性や安定性の低下を招く恐れがあります。次のようなポイントを踏まえ、正しく選択しましょう。

後継者問題の有無を確認する

親族内承継を第一候補としている場合、後継者候補の能力やモチベーション、従業員からの評判をチェックしましょう。どれだけ親族に引き継ぎたくても、経営者としてのスキルや適応が低いと、承継後に経営が傾く恐れがあります。また、従業員からの評判が悪いと、親族内承継が決定した時点で退職される心配もあるでしょう。

 

親族内にこだわりすぎず、従業員や他企業に後継者候補となり得る人物がいないか探すことが大切です。有力な後継者候補が身近にいない場合は、M&Aを選ぶといいでしょう。

M&Aを検討しつつ後継者を育成する

M&Aを検討しつつ後継者候補を育成し、どちらでも選べる状況を作りましょう。譲渡先に相応しい企業や個人がいないか探しつつ後継者候補を育成すれば、最終的に後継者に選定できなくても、途中からM&Aへシフトできます。後継者がいないことがわかってからM&Aの準備を進める場合よりも早く完了するでしょう。

 

譲渡先候補を探すのは、M&Aの仲介会社やアドバイザーに任せることが大切です。

 

■まとめ

事業承継のうち、親族外承継はM&Aの1つと考えられます。そのため、親族内承継かM&Aか選ぶことになるでしょう。M&Aは、後継者問題の解消、アーリーリタイア、他事業への資金投入など様々なメリットがあります。目的に合わせて適切な手法を選ぶことで、経営者だけではなく、従業員、後継者、顧客、取引先にとっても良い結果となります。

 

加藤良大(ライター)
M&Aに関する実績は200本以上。M&Aの基本情報から仲介会社・アドバイザーの選び方まで、様々な記事を執筆。難しい言葉を使わず、現場の実情まで踏まえた正確かつわかりやすい記事が好評。
人事・労務や法律、不動産、医療など専門的な分野を幅広く執筆している。累計実績14,000本以上、ライター歴7年。
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